2004 Fiscal Year Annual Research Report
新規化学合成法を用いた糖タンパク質糖鎖構造の多様性へのアプローチ
Project/Area Number |
16580093
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Research Institution | Tokai University |
Principal Investigator |
北條 裕信 東海大学, 工学部, 助教授 (00209214)
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Keywords | 糖ペプチド / ペプチドチオエステル / ムチン / シアル酸 |
Research Abstract |
糖タンパク質上の糖鎖は、細胞の増殖、分化、ガン化など、生命現象の多くの局面で重要な役割を担っている。しかし、どのような糖鎖構造が糖タンパク質の活性発現に必須であるのか、それはなぜか、といった分子レベルでの糖鎖機能の理解は、なかなか進まない。その大きな原因の一つが、糖鎖構造のミクロ不均一性の問題にある。特に、ムチンなど多くの糖鎖結合部位を持つタンパク質の場合には、分子間での不均一性のみならず,同じ分子内の異なった糖鎖結合部位間における不均一性もあり、その機能の解明を一層困難にしている。 本研究では、ムチンなど分子内に多様性のある糖鎖を持つ糖タンパク質の構造、機能を解明する目的で,糖鎖結合部位ごとに異なった糖鎖を自在に構築する基盤技術を確立する目的で行っている.本年度は、ムチンの一種MUC2の繰り返し配列を例として、均一な糖鎖を持つモデルを合成した。まず、23残基の繰り返し配列単位に7つのGalNAcを導入したペプチドチオエステルを合成した。ついで、それを6回縮合することによりアミノ酸141残基からなる42個のGalNAcを持つ糖タンパク質の合成に成功した。これは、現在化学合成によって達成された最も大きな糖タンパク質である.この成功によって、今後目的とする分子内にヘテロな糖鎖を持つムチンの合成にめどを付けることができた。また、同様の方法で分子内に2つの異なった糖鎖を持つロイコシアリンの部分ペプチドを合成することができた.N末端側の4糖を持つペプチドチオエステルを固相法により合成した後、シアル酸転移酵素によりガラクトースにシアル酸を導入した.一方、C末端側の4糖を持つペプチドを固相法により合成した後、異なるシアル酸転移酵素を用いて異なるガラクトースにシアル酸を導入した。N、C末端のペプチドをチオエステル法により縮合し、分子内に異なる糖鎖を持つペプチドを合成することができた。
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Research Products
(3 results)