2004 Fiscal Year Annual Research Report
セルピンにおけるループ挿入中間状態の解析:アミロイド形成抑制へのアプローチ
Project/Area Number |
16580099
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
高橋 延行 京都大学, 農学研究科, 助手 (20252520)
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Keywords | オボアルブミン / セルピン / ループ挿入 / コンフォメーション変化 / プロテアーゼ阻害 |
Research Abstract |
血清中などに見出されるセリンプロテアーゼインヒビター(セルピン)において、組織への沈着や重篤な遺伝的分子異常の原因となるコンフォメーション変化;ループ挿入を制御抑制することを目的とし、その中間状態を解析する方法を開発した。 研究対象として、セルピン・スーパーファミリーに分類されるものの、阻害活性を持たない卵白タンパク質;オボアルブミンに着目し、そのループ挿入を検出する実験系を探索した。従来はベイト・リージョンを切断するターゲット・プロテアーゼの他にループ挿入に関与する部分で切断するプロテアーゼ;サチライシンを用いて、ループ挿入前後のコンフォメーションの違いを、サチライシン感受性の変化を指標に解析していたが、操作が煩雑で、定量誤差も大きいため、より簡便で高精度の実験法が必要であった。本研究の端緒において、ループ挿入に伴うコンフォメーション変化により、イオン交換クロマトグラフィーにおける溶出位置が変化することを見出し、これを指標にループ挿入を定量的に解析することが可能となった。 本法を用いて、ループ挿入型オボアルブミン変異体R339T/A352Rのループ挿入を解析したところ、サチライシンを用いた解析法に比べ、著しく誤差は小さく、得られた一次反応速度定数は、従来法と同等であった。更にR339T/A352Rに付加的に部位特異的置換を加えた変異体について、pH、温度を変えてループ挿入速度を解析した。その結果、各変異体とも、pH依存性を示し、その変曲点はpH4.6付近であった。ループ挿入の過程に酸性アミノ酸残基の関与が示唆された。ループ挿入の速度は中性付近で遅く、酸性側で速いことから、オボアルブミン変異体におけるループ挿入のpH依存性の原因を探求することにより、セルピンにおけるループ挿入の制御抑制が可能であることが示された。
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Research Products
(2 results)