2005 Fiscal Year Annual Research Report
複合発酵乳中に含まれる新規免疫活性促進物質の同定、および作用機構の解明
Project/Area Number |
16580102
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 講師 (00263963)
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Keywords | 発酵乳 / 免疫調節 / 抗体産生 / サイトカイン産生 / 牛乳 / プロテオースペプトン |
Research Abstract |
12種類の乳酸菌、酵母等の発酵微生物で無脂肪牛乳を発酵して得られた複合発酵乳(pH4.6)を50,000rpm、30minの遠心により得られた上清画分を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH7.4)に対して透析したものをサンプルとした。発酵乳の抗体産生促進効果を調べた結果、ヒト型ハイブリドーマHB4C5細胞のIgM産生を3.3倍促進した。 発酵乳をSuperdex200カラムによるゲルろ過にて分画した後、各フラクションの抗体産生促進活性の測定、およびSDS-PAGE分析を行った結果、分子量19kDaのタンパク質にIgM産生促進活性が確認された。さらにこのタンパク質のN末端アミノ酸配列を調べたところ、プロテオースペプトン コンポーネント3(PP3)であることが示唆された。PP3の分子量は28kDaであることが報告されているため、発酵乳中の活性因子はPP3の部分断片物であることが分かった。 次に、原料乳である無脂肪乳に含まれる活性因子について検討した。まず、発酵乳の活性因子と推測されたPP3を構成成分とするプロテオースペプトン(PP)を調製するため、無脂肪乳の凍結乾燥標品を水に溶解後、90℃、30分間加熱し、pHを4.6に調製した後、超遠心して得られた上清画分をPP画分とした。このPP画分の抗体産生促進活性を測定したところ、高いIgM産生促進活性を示した。PP画分をゲルろ過により分画した結果、分子量28kDaのタンパク質にIgM産生促進活性が確認された。このタンパク質のN末端アミノ酸配列を調べたところ、この活性因子はPP3であることが分かった。 以上の結果から発酵乳中の活性物質はPP3の断片物であり、原料乳中のインタクトなPP3にも活性が認められた。PP3の生理活性については未だ報告がなく、本研究によりPP3の生理機能が初めて明らかとなった。
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Research Products
(2 results)