2006 Fiscal Year Annual Research Report
複合発酵乳中に含まれる新規免疫活性促進物質の同定、および作用機構の解明
Project/Area Number |
16580102
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
菅原 卓也 愛媛大学, 農学部, 助教授 (00263963)
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Keywords | 発酵乳 / 免疫調節 / 抗体産生 / サイトカイン産生 / 牛乳 / プロテオースペプトン / アレルギー抑制 / 抗ガン活性 |
Research Abstract |
12種類の乳酸菌・酵母等の発酵微生物で無脂肪牛乳を発酵して得られた複合発酵乳(pH 4.6)を50,000rpm、30minの遠心により得られた上清画分を10mMリン酸ナトリウム緩衝液(pH 7.4)に対して透析したものをサンプルとした。発酵乳の抗体産生促進効果を調べた結果、ヒト型ハイブリドーマHB4C5細胞の、IgM産生を3.3倍促進した。精製の結果、活性因子はプロテオースペプトンコンポーネント3(PP3)の部分断片物であることが確認された。また、無脂肪乳に含まれるフルサイズのPP3にも抗体産生促進活性があることが確認された。 そこで、無脂肪乳より調製したPP3を用いて産生促進活性の作用機構を検討した。ヒト型ハイブリドーマHB4C5細胞のIgMをコードするmRNAの転写促進活性に対するPP3効果を逆転写PCR法により検討した結果、転写活性には影響を及ぼさないことが確認された。また、タンパク質合成阻害剤であるアクチノマイシンDで処理することで転写活性を阻害したHB4C5細胞に対してもPP3は抗体産生促進効果を示したことから、PP3は翻訳活性を促進することにより抗体産生を促進している可能性が示唆された。 さらにプロテオースペプトンの抗体産生促進活性以外の生理効果を検討した。その結果、ヒト乳ガン細胞株MCF-7の細胞増殖を濃度依存的に抑制し、ガン細胞株に対する細胞傷害活性が確認された。また、IgEを産生するヒト骨髄腫細胞株U266細胞に対するIgE産生抑制効果を検討した結果、濃度依存的な産生抑制効果が確認された。このことから、プロテオースペプトンにはアレルギー抑制効果が期待できることが示唆された。
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Research Products
(1 results)