2004 Fiscal Year Annual Research Report
食品由来共役脂肪酸の新規な生理機能に関する基礎的研究
Project/Area Number |
16580104
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Research Institution | Saga University |
Principal Investigator |
柳田 晃良 佐賀大学, 農学部, 教授 (00093980)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
永尾 晃治 佐賀大学, 農学部, 助手 (10336109)
王 玉明 佐賀大学, 農学部, 外国人特別研究員
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Keywords | OLETFラット / HepG2細胞 / 共役脂肪酸 |
Research Abstract |
先に我々は、必須脂肪酸リノール酸の共役型である共役リノール酸の生理機能について、肥満誘発性高血圧の予防作用という新規作用を見出した。そこで、非肥満の本態性高血圧ラットの病態発症に及ぼす影響について検討を行ったところ、共役リノール酸摂取による改善作用が見出された。その作用機序としては、脂肪細胞由来のホルモン様物質:アディポサイトカインの一種である"アディポネクチン"の誘導によることが示唆された。この共役リノール酸によるアディポネクチン誘導作用については、糖尿病ラットでも認められ、高インスリン血症と非アルコール性肝臓障害に対して改善作用を示した。よって本研究により、共役リノール酸は脂肪細胞におけるアディポサイトカイン産生調節機能を介して、生体機能に影響を与えうることが初めて示された。 次に、植物種子油中に多く含まれる共役トリエン酸の生理作用について、ヒト肝臓由来細胞HepG2および肥満モデルOLETFラットを用いてin vitroおよびin vivoで検討を行った。その結果、ザクロ種子由来の9cis,11tarns,13cis型共役リノレン酸は、HepG2細胞におけるトリグリセリド合成を抑制し、アポリポ蛋白質B100分泌を抑制することが示された。そこで、OLETFラットにザクロ種子油を摂食させて2週間飼育したところ、肥満ラットにおける肝臓脂質蓄積を改善できることが示された。その作用機序としては、生体内における貯蔵型脂肪酸の産生に関与する脂肪酸のΔ9不飽和化反応に対して、9cis,11tarns,13cis型共役リノレン酸が抑制作用を持つためであると考えられた。 本研究により、既に報告が多い共役リノール酸以外にも、脂質代謝に影響を及ぼすことにより肥満誘発性病態の発症に対して予防・改善作用を示す共役脂肪酸が食品中に存在することが示された。
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Research Products
(4 results)