2005 Fiscal Year Annual Research Report
天然型共役リノレン酸がラット脂質代謝および免疫機能に及ぼす影響
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16580107
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Research Institution | Siebold University of Nagasaki |
Principal Investigator |
古場 一哲 県立長崎シーボルト大学, 看護栄養学部, 助教授 (30290638)
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Keywords | 共役リノレン酸 / プニカ酸 / ザクロ種子油 / 脂肪組織重量 / β酸化 / イムノグロブリン / ラット |
Research Abstract |
私たちはこれまでに、代表的な共役脂肪酸である共役リノール酸(CLA)よりも二重結合数が一つ多い共役リノレン酸(CLN)には、CLAよりも強い体脂肪低減効果があることを観察している。しかしこのCLNは化学合成により得られたもので多数のCLN異性体を含み、体脂肪低減作用がどのCLN異性体によるものかは明確でなかった。自然界には、ニガウリやザクロなど一部の植物種子で特定のCLN異性体をかなり高濃度含むものが存在する。本件研究では、これらのCLN含有種子油の摂取がラットの体脂肪および脂質代謝にどのように影響するか、ラットを用いた摂食試験を行い、CLN異性体による作用の違いについて検討した。CLN源として、ニガウリ(α-エレオステアリン酸;9c,11t,13t-18:3)、ザクロ(プニカ酸;9c,11t,13c-18:3)、キササゲ(カタルピン酸;9t,11t,13c-18:3)およびキンセンカ(カレンディン酸;8t,10t,12c-18:3)の各種子油を用い、大豆油と混合してCLN含量を10%に調整したものを試験油とした。対照にはCLN含有種子油の代わりにαリノレン酸を含むアマニ油を用いた。3週齢のSD系雄ラットに各試験油を7%含むAIN-93G組成の純化食を4週間自由摂食させた結果、ザクロ種子油(プニカ酸)摂取により腎臓周辺脂肪組織重量が低下した。その一因として、肝臓での脂肪酸β酸化能の亢進が示唆された。このことから、CLNの作用は構造の違いにより異なると考えられた。しかし、このようなプニカ酸摂取の効果は、予め高脂肪食(20%ラード食)を与えたラットでは認められず、CLN効果は食餌条件により影響を受けることが示唆された。血清イムノグロブリン濃度は各群間で大きな違いは認められず、本件研究ではCLN異性体の違いによる免疫反応への影響は明確にはならなかった。
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