2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
16580111
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Research Institution | National Institute of Advanced Industrial Science and Technology (AIST) |
Principal Investigator |
辻 典子 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, 研究チーム長 (30343990)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉地 幸徳 独立行政法人産業技術総合研究所, 年齢軸生命工学研究センター, センター長 (70344223)
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Keywords | 制御性樹状細胞 / インターロイキン10 / 自然免疫シグナル / 乳酸菌 / プロバイオティクス / 多糖 / 核酸 |
Research Abstract |
近年では食品成分や腸内細菌が生体にとっての環境因子として数量的にも質的にも主たる存在であることが認識され、消化管免疫の状態がアレルギーや糖尿病など全身性の免疫病にも影響するのではないかと推測されるようになった。本研究の対象となる免疫制御性細胞は、過剰な炎症性免疫応答や抗体応答を制御することにより、生体にとって有害な炎症(疾病)を回避する働きを持つ。われわれは昨年度までにLactococcus Lactis cremoris C60について、死菌体の熱水抽出画分(C60Ex)が樹状細胞からのインターロイキン-10(IL-10)高産生を誘導することを示し、その受容体としてトル様レセプター2および9が重要であることを示した。 In vivoにおけるC60Exの効果を検証するため、7週齢のBALB/cマウスにC60Exを5日間投与した後、脾臓、腸間膜リンパ節、パイエル板を酵素消化し、抗CD3抗体を添加して48時間培養した。培養後の上清を採取し、ELISAでサイトカインを測定した。各臓器ともC60Exを飲ませた場合、生理食塩水を飲ませた対照群と比べて、IL-10およびIFN-γの産生は増加、IL-2の産生は減少、IL-4は変化なしという結果が得られた。現在一細胞レベルでのサイトカイン産生パターンを確認しているが、樹状細胞から産生されたIL-10によりIL-10産生性T細胞(Tr1様制御性T細胞)あるいはIL-10+IFN-γ産生性制御性T細胞がin vivoで誘導される系が確立された。 以上の結果は、乳酸菌成分によりトル様レセプターを介して産生されるIL-10が、in vivo(消化管)においてIL-10関連型制御性T細胞を誘導する経路を示唆している。
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