2004 Fiscal Year Annual Research Report
バイオマスの変換プロセスに適した木材糖化効率を高める白色腐朽菌の分子育種
Project/Area Number |
16580133
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Research Category |
Grant-in-Aid for Scientific Research (C)
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
本田 与一 京都大学, 生存圏研究所, 助教授 (70252517)
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Keywords | バイオマス変換 / 白色腐朽菌 / 遺伝子工学 / 形質転換 / 宿主ベクター系 / 担子菌 / きのこ / クローニング |
Research Abstract |
担子菌類(きのこの仲間)のリグニン分解能力を利用して木質バイオマスの変換利用の際に障害となる高分子リグニンを分解除去する系は、常温常圧で反応が進み環境へのインパクトが少ない点が特徴である。担子菌の中でも白色腐朽菌類は、一般に菌体外に分泌するラフカーゼやペルオキシダーゼによって初発される連鎖的ラジカル反応によって、高分子リグニンの低分子化を促し、これによって生成する多様な芳香族有機化合物を分解・資化するとされている。このため、硫酸や塩基置換性の芳香族化合物など、他のシステムに置ける問題点をクリアできることが知られている。本研究では、研究代表者が自ら開発を行ったリグニン分解性担子菌Pleurotus ostreatus(ヒラタケ)への遺伝子導入システムを利用して、木材糖化能が高度に高められた「遺伝子組換え担子菌」を作製する目的で、高分子リグニンをも直接分解することが可能な多機能型のマンガンペルオキシダーゼを発現するための組換えmnp2遺伝子を形質転換導入して遺伝子組換え体を単離し、分解能が高められた株のスクリーニングを行った。 ヒラタケのmnp2遺伝子を単離して、これまでに作成されたsdi1遺伝子の発現シグナルを有する組換えプラスミドpTM1上で、制限酵素的にコード領域の置き換えを行って組換えプラスミドpIpM2gの構築を行った。この発現プラスミドをP.ostreatusに導入するため、カルボキシン耐性マーカープラスミドpTM1との共形質転換を行い、カルボキシン2μg/mlを含む再生培地上でコロニーを作る形質転換体を単離した。これらの形質転換株に対しPCR法による検出を行い、mnp2発現プラスミドpIpM2gも導入された共形質転換株を多数単離した。このようにして得られた株を用いて、培地中に高分子色素PolyR-478を含む培養条件下で多機能型ペルオキシダーゼの生産能についてスクリーニングしたところ、野生型がMnP2を生産しない条件下でも、著量のMnP2を発現する組換え体が複数見つかった。
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