2004 Fiscal Year Annual Research Report
コンブ目植物組織における高生産性培養法の開発に関する栄養生理学的研究
Project/Area Number |
16580139
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
水田 浩之 北海道大学, 大学院・水産科学研究科, 助教授 (00250499)
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Keywords | コンブ類 / 組織培養 / カルス / 増殖 / 種苗 / 栄養塩 / 植物生長調整物質 / 再分化 |
Research Abstract |
マコンブ胞子体組織の部位はカルス細胞の生産やその増殖能にも影響を及ぼす。特に本年度は、従来から一般的に行われているカルス細胞の誘導を行うと共に、異なる誘導条件の設定により、より効率の良いカルス誘導の可能性を検討した。具体的には、種々の環境でのカルス様細胞の成長を調べ、現在までに以下のことが明らかになった。 1.藻体採取部位は、組織年齢や栄養状態を知る指標となることから、種々の部位から得たものを用いてカルス誘導を試みた。その結果、マコンブ幼胞子体のみならず、胞子体の成熟部位である子嚢斑の組織を用いて、プロトプラストの生産ができる可能性が示唆された。マコンブ胞子体の成熟部位は、資源となる栄養塩の蓄積が豊富な部位であることから、組織の栄養状態はカルスの形成に大きく影響を及ぼすことが示唆された。また、幼胞子体を用いたカルスの誘導では、品質が明らかになった胞子体から、遊走子を採取・培養を行う必要があることから、大きな成熟個体からのカルスの誘導は、品質が明らかなものから効率的にクローン種苗を獲得できる可能性を示唆するものである。 2.また、人工植物調整物質であるジクロロフェノキシ酢酸10μMの培地への添加がカルス誘導に効果があることが分かった。 3.栄養塩および光環境はカルス様細胞の誘導や成長に影響を及ぼし、低栄養塩あるいは低光量ではカルスの誘導が制限された。 現在、異なる培養条件下でのカルス様細胞の誘導を引き続き試みると同時に、カルス様細胞の栄養塩含有量分析のための大量培養を行っているところである。
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