2006 Fiscal Year Annual Research Report
浅海域に生息する縣濁物食性の二枚貝類にとっての有効な食物の見直し
Project/Area Number |
16580143
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
佐々木 浩一 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (70111268)
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Keywords | 二枚貝類 / 食物供給機構 / 粒状有機物 / 脂肪酸組成 / 安定同位体比 |
Research Abstract |
懸濁物食性の二枚貝類にとっての有効な食物種類を絞り込むことを目的として、従来から食性調査に用いられている、胃内容物の観察および炭素・窒素安定同位体比の分析に加えて、脂肪酸組成の分析を平行して行った。特に、炭素・窒素安定同位体比分析では明らかにできない事項であるところの、食物供給層に混ざり込まない浮遊性微細藻類がデトライタス化した後で食物として取り込まれる可能性や、底生性微細藻類のデトライタス化したもの、陸上植物、大型海藻の破片、ベントスの排泄物などの食物としての有効性について検討した。 本年度の研究では、福島県相馬市磯部地区地先のホッキガイ漁場において、2006年4〜12月の期間、毎月1回程度、ホッキガイ(ウバガイ)、海水、底質を採集した。 ホッキガイ閉殻筋中の主要な脂肪酸の構成割合には明瞭な季節的変化は見られず、構成割合の大きい成分としては、C16:0、C18:0、C20:0などの飽和脂肪酸、およびC20:5n-3、C22:6n-3であった。食物由来の主な脂肪酸は、C20:5n-3、C22:6n-3、炭素数が奇数の脂肪酸である。C20:5n-3が高い割合で含まれることは珪藻類の食物としての寄与が大きいことを示しており、C22:6n-3は、渦鞭毛藻や動物プランクトンの破片などが食物となっている可能性を示している。また、C18:2n-6、C18:3n-3の存在は、デトライタス化した大型海藻の破片が食物となっていることを示唆している。炭素数が奇数の脂肪酸はバクテリア由来と考えられるが、これはデトライタスとともに取り込まれたものがホッキガイの体組織に反映したものである可能性があるが、デトライタスのうち有効な食物になっている構成物の詳細は特定できなかった。
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