2004 Fiscal Year Annual Research Report
海洋中における生分解性プラスチックの微生物分解の機構と漁具への応用に関する研究
Project/Area Number |
16580146
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Research Institution | Tokyo University of Marine Science and Technology |
Principal Investigator |
兼広 春之 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (80134857)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
東海 正 東京海洋大学, 海洋科学部, 教授 (30237044)
渡部 俊広 (独)水産総合研究センター, 水産工学研究所・漁法研究室, 室長 (90344332)
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Keywords | 生分解性プラスチック / ゴーストフィッシング / 深層水 / 強度低下 / プラスチック分解微生物 / 低水温環境 |
Research Abstract |
3種類の脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトン(PCL),ポリヒドロキシブチレート/バリレート(PHB/V),ポリブチレンサクシネート(PBS))と天然繊維の綿糸及び絹糸について,富山湾の深層水中で浸漬試験を行った。(深層水浸漬は富山県水産試験場内の飼育水槽中(常圧,水温0.5℃)および加圧水槽(平均水圧20atm,水温約3.6℃)中で14ヶ月間行った。)また,実海域の鳥取沖カニ籠漁場(水深約2000m,水温1℃以下)において10ヶ月間浸漬試験を行った。一定期間ごとにサンプルを回収し,強伸度測定とSEMによる表面状態観察を行った。汲み上げ深層水中で浸漬試験を行った結果,飼育水槽,加圧水槽とも浸漬1ケ月後から徐々に強度低下が起こり,綿・絹では3ヶ月で強度が0に,PCL PHB/Vでは6ヶ月後に強度が40〜60%低下し,14ヵ月で強度が0になった。加圧下でも5種類の繊維のすべてにわいて強度低下が認められ,中でもPCLおよびPHB/Vは加圧下の方が強度低下が大きかった。5種類の繊維の中でPBSが最も分解が遅かった。実海域(鳥取沖カニ籠漁場,水深2000m,水温1℃以下)に浸漬した試料についても10ヶ月後にはPBSで約10%,PCLで約30%,PHB/Vで約80%の強度低下が認められ,分解の速さは富山湾深層水浸漬試験と同じように,綿>絹>PCL≧PHB/V>PBSの順であった。SEM(電子顕微鏡写真)観察の結果,繊維の強度低下が深層水中の微生物分解により起こっているものと推察された。 試験に用いた深層水からPCLグラニュールを使った液体培地培養法によりPCL分解微生物のスクリーニングを行った結果,加圧水槽水から10株と深層水取水海域の表層水から4株の計12株のPCL分解微生物が確認された。12株の中には4℃の低温下でPCLを分解する微生物の存在が確認された。
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Research Products
(2 results)