2004 Fiscal Year Annual Research Report
有明海砂質干潟におけるマンガンの蓄積がアサリ稚貝の生残へ与える影響について
Project/Area Number |
16580162
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Research Institution | Kumamoto Health Science University |
Principal Investigator |
高橋 徹 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (70369122)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
堤 裕昭 熊本県立大学, 環境共生学部, 教授 (50197737)
赤池 紀生 熊本保健科学大学, 保健科学部, 教授 (30040182)
野村 雄二 広島大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (80218370)
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Keywords | アサリ / 有明海 / マンガン / 干潟 / 重金属 / 環境毒性 / 稚貝 |
Research Abstract |
今期の最重点課題は定着直後の稚貝の飼育実験を精密に行い、死亡条件を絞り込み、死亡直後の異変箇所を病理学的に特定することであった。しかし、2004年秋期は例年になく稚貝の定着が少なく、稚貝を用いた実験が殆ど実施出来なかった。そのため、野村が確立しているカエル幹細胞、ヒト骨芽細胞を用いてMnイオンや現場の砂との混合液曝露による一般毒性、変異原性、環境ホルモン作用の検討を先行させた。現在のところ骨芽細胞系で若干の毒性が認められたが、条件を変えた実験や再現性の確認を繰り返しているところである。また、アサリそのものの培養細胞を用いて行う事が出来れば、迅速かつ、自然条件に左右されない繰り返し実験が可能になる。そのため、アサリ神経細胞と中腸線細胞の継代培養系の確立を最優先課題で取り組んでいる。 なお、補足的実験として、日射の強い干潟表層を想定した条件下でのニトロ化生成物の検討もおこなった。その結果、UV照射によるMn存在下である化学物質生成が確認された。したがって、この物質の毒性も検討項目に加えることとした。 一方、ようやく12月に定着が見られた稚貝について、第2回飼育実験をおこなった。その結果、Mnイオンの単独曝露ではかなりの濃度でも影響がなく、これに稚貝の大量死が起こる現場の砂を加えた場合のみ稚貝の死亡率増加が認められ、この砂だけでも死亡率低下はおこらなかった。したがって、Mn存在下における他要因による死亡率増加は改めて確認された。この現場の砂を更に詳しく検討すると、Mnより低濃度ではあるものの、他の生息地との間には他の重金属濃度にも差が認められた。そこで、現在、これら他の重金属および有機物、紫外線照射等の複合作用を考えた第3回飼育実験を実行中である。
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