2006 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化による河川流況変化が農業用水利用に及ぼす影響に関する研究
Project/Area Number |
16580203
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Research Institution | Miyagi University |
Principal Investigator |
加藤 徹 宮城大学, 食産業学部, 教授 (70070224)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
倉島 栄一 岩手大学, 農学部, 教授 (30178082)
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Keywords | 地球温暖化 / 積雪融雪計算 / 融雪流出 / 河川流況 / 農業用水 / 水稲作付け時期 |
Research Abstract |
研究3年目の平成18年度の研究実績の概要は以下のとおりである。 研究対象流域の一つである大倉ダム流域(名取川水系広瀬川・宮城県)の下流に存在する仙台平野における水稲作付け時期の変化と農業用水利用の関係についてみてみた。 (1)「仙台」の現在の寒温では、移植(田植え)時期が5月上旬で、そして積算温度が約1,700℃と達すると出穂となるが、その時期はおおよそ8月上旬頃である。この時期からさらに積算温度が1,000℃(田植え後の積算温度2,700℃)となると登熟・刈り取り時期となるが、この時期は9月中旬頃である。ところで、この仙台の気温が単純に各月+4℃となった場合には、松山、徳島などの四国地方の現在の気温とほぼ同等となり、現行品種の場合には、水稲の作付け時期の変更は余儀なくされることが推測される。 (2)次に、水稲作付け時期の変化と農業用水利用との関係についてみてみると、仮に気温上昇が4℃となった場合には、現行の水稲作付けであると、出穂時期が7月中旬なり、それに伴い登熟期が8月中旬頃となり、高温障害をうけることが予測されるとともに、田植え時期である5月第1半旬期には流出高が約50%減少することにより、農業用水の不足が大きな問題となる。この用水不足を回避するために、田植え時期を早めて4月初旬頃にすると、出穂時期が7月上旬頃となり、登熟期には現行作付けよりさらに大きな高温障害をうけることになる。この高温障害を回避するために田植え時期を6月上旬頃にしなければならない。ところが、6月上旬の流出量は5月第1半旬期の30〜60%と最も流出量の少ない時期にあたり、より大きな水不足が予測され、今後、地球温暖化に対応する水稲の品種改良、栽培方法並びに農業用水利用のあり方などについてのさらなる検討が必要であることが示唆された。
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