2004 Fiscal Year Annual Research Report
混住化河川流域における健全な水循環に向けた水資源・水利システムの活用に関する研究
Project/Area Number |
16580208
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Research Institution | Osaka Prefecture University |
Principal Investigator |
堀野 治彦 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助教授 (30212202)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
荻野 芳彦 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 教授 (60032992)
中桐 貴生 大阪府立大学, 農学生命科学研究科, 助手 (80301430)
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Keywords | 降水量 / 蒸発散位 / ため池 / 貯水量 / 水田 / 下水道 |
Research Abstract |
農業用水は,いわゆる灌漑用水としての役割だけではなく,地域住民の生活・環境に密着した地域の水としての機能も果たしている.都市化の進行によりこうした機能の喪失が危惧される中で,混住化域である岸和田市域を対象とし,望ましい水環境の構築に資するため,地域や流域レベルでの水循環やその影響の把握を試みようとしている. 今年度は,まず,既存の気象データを用い,対象域周辺の基本的気候特性を検討した.大阪府内7個所のアメダスデータより,水供給可能量(降雨-蒸発散位)を整理したところ,対象域近傍の堺,熊取では,過去24年中約3割程度の年で同可能量が負となり,我が国としては比較的乾燥した気候分類に該当することが確認された.また,年ベースでみた場合,経年的に降水量が増加しているのに対し蒸発散位は減少する傾向にあることも明らかとなった.次に,岸和田市を流下する春木川流域に存在するため池すべてを台帳から整理したところ,計162のため池のうち,貯水量5000m^3以下の小規模池の大部分が上流域に集中し,下流部ほど数は減少するものの規模の大きいため池が存在することがわかった.流域全体の総ため池貯水量は約204万m^3と見積もられたが,これは減反を考慮した実水田面積に対して約2500mmに相当する.一見,十分な水量と思われるが,総水田面積に対しては1100mmに満たず,行政的な生産調整導入以前に,水資源上すべての水田での安定的な作付けはきびしい状況下にあると考えられる. 一方,水量のみではなく水質的な調査も行っている.特に,下水道基盤整備の進展とともに河川(春木川)の水質が向上していることを,既存のデータおよび今回の実測データから実証的に検討開始している.流域末端での排出負荷が減少していることは確認されつつあるが,同時に流域内での負荷の偏在性も明らかになりつつある.こうした問題は,流域内の土地利用分布や人口分布などのGISデータを踏まえ検討する予定である.
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