2006 Fiscal Year Annual Research Report
空間的に不均一な植生に対する放牧家畜の採餌戦略の解明
Project/Area Number |
16580222
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
平田 昌彦 宮崎大学, 農学部, 教授 (20156673)
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Keywords | 放牧家畜 / 採食行動 / 空間的不均一性 / 選択採食 / 採餌戦略 / パッチ / 報酬 / 個体間差 |
Research Abstract |
空間的に不均一な植生に対する放牧家畜の採餌戦略を解明するために,以下の2つの実験を実施した。 1.再成長期問および施肥量の異なるパッチの選択 バヒアグラスーシバ草地に,再成長期間と施肥量の異なる6種類のパッチを創出し,放牧牛によるパッチ選択のメカニズムについて,パッチに対する好み(採食時間割合および採食時間に基づくIvlev's electivity index)とパッチの量と質の総合的価値との関係に基づき評価した。各パッチの総合的価値は,相対値化された3つの指標(乾物摂取速度,乾物消化率および粗タンパク質含量)の組合せの最小値とした。各試験の指標ごとに最大値をとるパッチの値を1に相対値化した場合,パッチに対する好みはどの総合的価値とも密接な関係を示さなかった。各試験の指標ごとに最大値をとるパッチの値を1,最小値をとるパッチの値を0に相対値した場合,パッチに対する好みは,乾物摂取速度および粗タンパク質含量の最小値と比較的密接な関係を示した。以上のことは,パッチ選択において,ウシがパッチ間の量や質の差異を拡大して評価していることをうかがわせた。 2.採食行動の個体間差 バヒアグラス草地に放牧される牛群における採食行動の個体間差について調査した。その結果,バイト重,バイト速度,摂取速度,総バイト数および採食時間割合における個体間差が,採食地点の草高における個体間差と関連し,採食地点の草高の個体間差は,草量と草質のトレードオフが起こる夏と秋においては,体重の個体間差と関連していることが示された。群を構成する個体が,季節によってその体重により採食地点を異にすることにより,いくつかの採食行動が影響を受けるが,日採食量は影響を受けることなく,大型草食動物の異種間で起こっている草地全体の利用と個体の共存が,同種の群の中でも起こっている可能性が考えられた。
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Research Products
(1 results)