2005 Fiscal Year Annual Research Report
地球温暖化に伴う乳用牛の暑熱環境のリスク評価とハザードマップの作成
Project/Area Number |
16580226
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Research Institution | 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構 |
Principal Investigator |
田中 正仁 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・畜産飼料作研究部, 室長 (00355695)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大場 和彦 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・環境資源研究部, 室長 (50343950)
丸山 篤志 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・環境資源研究部, 主任研究官 (90355652)
神谷 裕子 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・畜産飼料作研究部, 研究員 (10355696)
神谷 充 独立行政法人農業・生物系特定産業技術研究機構, 九州沖縄農業研究センター・畜産飼料作研究部, 研究員 (20355697)
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Keywords | 乳牛舎 / 細霧冷却 / 乳量減少量 / 牛体熱収支 / THI / 暑熱環境ストレス / 換気 |
Research Abstract |
わが国おける平年値から算出した月別THIの変化をみると、乳量の低下はTHIが72以上になると低下する。月別でのTHIは北海道、東北地域では72以上になることは少なく、西日本地域では6月〜9月までである。異常低温年と高温年について6月〜10月までの日別平均気温とTHI及び乳量の減少量をみると、1993年の場合、日平均気温は30℃以下で推移し、九州管内より東日本地域がさらに低い温度である。THIは6月中旬ごろから72以上の値を示し、最高でも78前後の値である。異常低温年の1993年では、期間合計乳量減少量は帯広0kg〜熊本98kgの範囲であった。また、1994年の場合、乳量減少量が開始する時期は1993年と同様で、減少量は帯広17kg〜岡山317kgの範囲でかなり増大する。暑熱対策として、屋根散水と畜舎内細霧冷房を実施している同所の畜舎を対象に時間別THIと乳量減少量をみると、8月2日から処理区において暑熱対策を実施ており、その影響によって対照区に比べ気温では約3℃、THIでは約2.7低くなった。しかし、THIは処理区においても平均76.5であり、夜間でも72を下回ることは少なく乳量低下が懸念される。一方、晴天日における牛体の熱収支解析項目の時間変化によると、噴霧を実施している時間帯では、日中は気温が上昇しているが、牛体の顕熱放散量は減少する。噴霧を行っていない時間は貯熱量が徐々に増加し、10時過ぎ頃からは100W/m^2を越える。噴霧を開始すると、気温が低下するため顕熱放散量は僅かに増加した。また、牛体表面が濡れるため、潜熱放散量が大きく増加したが、貯熱量は60W/m^2前後にまで低下し、依然として暑熱環境下であった。対象牛舎の噴霧と換気扇による牛体貯熱量が0W/m^2となる最適環境へ導くことができる蒸発量と風速の関係を求めるためシミュレーションを行い、牛体の3/4表面が濡れていると仮定すると、風速4m/sで相対湿度60%の場合、外気温が38℃まで最適環境へと導くことができる。
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Research Products
(6 results)