2004 Fiscal Year Annual Research Report
ブタ胚生産システムの確立を目的とした精子受精能力発現の人為的抑制法の開発
Project/Area Number |
16580229
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
原山 洋 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (30281140)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三宅 正史 神戸大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (60093316)
村瀬 哲磨 岐阜大学, 応用生物科学部, 助教授 (30303514)
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Keywords | 受精 / 精子 / 細胞内シグナリング / チロシンキナーゼ / SYK / cAMP / リン酸化 / ブタ |
Research Abstract |
1.cAMP依存性PTKの同定:様々な種類の抗活性化型PTK抗体を用いたウエスタンブロッティング法により,ブタ精子では非受容体型PTKのSYKがcAMP依存的に活性化されることを見出した。また同抗体を用いた間接蛍光抗体法により,精子SYKが頚部と鞭毛主部に分布することを明らかにした。さらにこの精子SYKの活性化にはcAMP依存的タンパク質キナーゼ(PKA)が重要な役割を果たすことを阻害剤(H-89)を使用した実験で指摘した。このような精子での活性化機構は,従来リンパ球や血小板において詳細に解明された機構とはまったく相違することから,精子SYKの活性化は新規の機序により制御されていると考えられる。なお,この精子SYKは細胞内部に存在する分子であり,NP-40などの非イオン性界面活性化剤による可溶化は未だ成功していない。現在,キナーゼ活性を維持した状態でSYKを精子から抽出する方法を検討している。 2.同定されたPTKの活性化と精子受精能力発現状態との相関性の検証:精子SYKが頚部と鞭毛主部に分布していたことから,このPTKの活性化と精子運動性との関係について検討した。その結果,活性化型SYKが出現するcAMPアナログ処理2〜3時間後の精子ではハイパーアクチベーション(超活性化運動)様の運動様式が認められた。ハイパーアクチベーションは精子が卵母細胞へ侵入するのに必須の現象であるが,この点を考え合わせると,SYKは精子の受精能力発現を制御する因子のひとつであると考えられる。 3.同定されたPTKの活性化制御領域のcDNA配列解析:ブタ精巣cDNAを鋳型として増幅したPCR産物(590塩基,Activation Loopを含む)はブタ脾臓由来syk遺伝子のC末端触媒領域の配列と完全に一致した。この結果はブタ精巣においてSYKが合成されていることを示している。
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Research Products
(1 results)