2004 Fiscal Year Annual Research Report
キジ目鳥類におけるミトコンドリアゲノム構造とその進化学的および分子系統学的解析
Project/Area Number |
16580231
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
西堀 正英 広島大学, 大学院・生物圏科学研究科, 助手 (80237718)
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Keywords | キジ目 / ミトコンドリアDNA / 分子系統樹 / 系統 / 形態分類 / ツカツクリ / ヤケイ / ウズラ |
Research Abstract |
本研究の目的は、1)キジ目鳥類5科についてミトコンドリアゲノム(ミトゲノム)DNAの全塩基配列の決定、2)ミトゲノム全塩基配列に基づくキジ目鳥類の分子系統樹の構築、3)ミトゲノム13遺伝子について、形態分類群および分子系統におけるクレイドとミトゲノム各遺伝子の構造との関連性の解明、の3つである。キジ目5科全てについて、各々1種以上(5科28種)のミトゲノム全塩基配列を決定し(計画における目標は33種)、それぞれにアノテーションをつけてDNA Data Bank (DDBJ)に登録した。決定した28種において、鳥類に特徴的な遺伝子の転座(鳥類以外の脊椎動物ではNADH subunit 6(ND6)とCytochrome b (Cytb)の位置が入れ替わる)が見られた。さらにキジ目特有の変異であるとされている「ND3遺伝子における一塩基挿入」とその特異的な編集についても解析した全ての種で観察された。ツカツクリ科を除いた4科27種を用いて分子系統樹を作成すると、1)キジ族、シャコ族などの族(Tribe)の分類階層と分子系統樹に矛盾、2)形態学的に分類されるライチョウ科、シチメンチョウ科鳥類は、分子系統樹ではキジ科のクレイドに含まれる、3)旧大陸ウズラ(ウズラ属)と新大陸ウズラ(ハウズラ科)はキジ科のクレイドが形成される以前に分岐した可能性が示唆される、の3つの点が明らかになった。一方、キジ科ヤケイ属について、ミトゲノム情報に加えて核ゲノム情報をあわせて分子系統学的分析を行った結果、ニワトリ、セキショクヤケイとハイイロヤケイなど種を超えた雑種の存在が明らかとなり、ニワトリの祖先種はセキショクヤケイのみであるという説に矛盾する成果が得られた。
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