2005 Fiscal Year Annual Research Report
エンベロープウイルス侵入機構の解明と新規阻害剤の開発
Project/Area Number |
16580236
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Research Institution | Health Sciences University of Hokkaido |
Principal Investigator |
岡崎 克則 北海道医療大学, 薬学部, 教授 (90160663)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
喜田 宏 北海道大学, 大学院・獣医学研究科, 教授 (10109506)
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Keywords | ウイルスエンベロープ / 膜融合 / 侵入 / ヘルペスウイルス / gB糖蛋白 / ヘプタドリピート / 血管内皮細胞 / エンドサイトーシス |
Research Abstract |
エンベロープウイルスは宿主細胞表面のレセプターに吸着後、エンベロープと細胞膜との膜融合によって細胞内に侵入する。ヘルペスウイルスの膜融合ではgB糖蛋白が中心的役割を果たす。gBにはαヘリックス構造をとるヘプタドリピート領域が2ヶ所(HR1およびHR2)存在し、HR1とHR2の会合が膜融合のための構造変化と密接に関わっていると考えられている。本研究では、仮性狂犬病ウイルス(PRV)のHR2領域のみをコードする遺伝子を合成して発現ベクターを構築し、HR2を細胞表面上に恒常的に発現する細胞を樹立した。これにPRVを感染させてウイルスの増殖を調べたところ、ウイルス産生量はHR2発現細胞と対照間でほとんど差が認められなかったものの、HR2発現細胞においてはウイルスによるプラック径が著しく減少した。本成績は、(1)細胞表面上のHR2がPRVの吸着および侵入には影響を及ぼさないこと、(2)細胞表面上あるいは合成・輸送途中のHR2が隣接細胞への感染を抑制することを示している。内因性HR2がgB分子内におけるHR1とHR2の会合を阻害し、隣接細胞への感染に与る膜融合を抑制したものと考えられる。 ウマヘルペスウイルス1(EHV1)感染馬は、呼吸器症状ならびに流産の他、しばしば神経症状を呈する。そこで、EHV1の向神経性機序を解明するためウマ脳血管内皮細胞(EBMECs)への侵入過程を超微形態学的に解析した。その結果、エンベロープを被ったウイルス粒子が細胞内空胞中に認められた後、ヌクレオカプシドが核膜孔付近に移動することがわかった。EHV1はEBMECsに吸着後エンドサイトーシスによって取り込まれ、細胞内空胞の膜とエンベロープが融合することによって侵入するものと考えられる。通常、ヘルペスウイルスはレセプターに吸着後、細胞表面で膜融合を起こして侵入するとされている。EHV1は特異な機構によりEBMECsへ侵入するのかもしれない。
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Research Products
(5 results)