2004 Fiscal Year Annual Research Report
ウマヘルペスウイルス1型野外分離変異株の変異遺伝子の同定と機能解析
Project/Area Number |
16580244
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Research Institution | Rakuno Gakuen University |
Principal Investigator |
桐沢 力雄 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (70153252)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
遠藤 大二 酪農学園大学, 獣医学部, 助教授 (40168828)
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Keywords | ウマヘルペスウイルス1型 / 変異株 / 塩基配列 / ウイルス学 / 遺伝子 |
Research Abstract |
ウマヘルペスウイルス1型(EHV-1)は妊娠馬が感染すると死流産や生後直死を起こす。2002年に当教室で馬流産胎子の肺から分離したEHV-1の5586株は、従来の株とは異なり培養細胞で増殖させると細胞遊離性ウイルスを産生せず、細胞介在性でウイルスは伝播した。今回、この原因を明らかにすることを目的に、ウイルス性状の詳細な解析とウイルス遺伝子のシークエンス解析を行った。 【材料と方法】EHV-1の野外株5586と標準株HH1を用いた。培養細胞には馬皮膚株化細胞を用いた。感染細胞から抽出した5586株のウイルスDNAはBamHIで切断し、pUC18にクローニングしてシークエンス解析に用いた。 【成績と考察】5586株ウイルスDNAのBamHIプロファイルは変異型1BをもとにさらにHとM断片間の切断点が欠損した新しい型を示した。ウイルス蛋白をウェスタンブロット法で解析したところ、gC蛋白とgp2の発現が認められなかった。5586株の77種類のmRNAの発現量をリアルタイムPCRで調べたところ、gCとgp2を含む12種類でHH1株の半分以下に減少していた。5586株の全塩基配列を決定した結果、77種類の遺伝子のうち68種類でアミノ酸置換が認められた。11種類の主要エンベロープ糖蛋白ではgLを除く10種類でアミノ酸配列の変異が認められた。転写活性化因子ではORF5(ICP27)、ORF63(ICP0)、ORF64(ICP4)とORF65(ICP22)でアミノ酸置換が認められた。以上の成績より、エンベロープ糖蛋白などのウイルス構成蛋白をコードする遺伝子の変異ならびに転写調節に関わる遺伝子の変異が5586株のウイルス増殖過程のあらゆる段階に影響しているものと考えられた。今後、変異の認められた遺伝子と5586株のウイルス性状との関連性を検討する予定である。
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