2004 Fiscal Year Annual Research Report
犬乳腺腫瘍の発生抑制に奇与するコネキシン遺伝子の特定とその抑制機構の解明
Project/Area Number |
16580259
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Research Institution | National Institute of Health and Nutrition |
Principal Investigator |
矢野 友啓 独立行政法人国立健康・栄養研究所, 室長 (50239828)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
浅野 隆司 日本大学, 生物資源科学部獣医学科, 教授 (40151047)
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Keywords | 犬乳腺腫瘍 / コネキシン26 / コネキシン43 / 癌抑制遺伝子 / 細胞間情報伝達 / ギャップ結合 |
Research Abstract |
哺乳動物細胞に広く発現が確認されているコネキシン(Cx)遺伝子は、ギャップ結合(GJ)を介して細胞間の恒常性を維持し、細胞の分化誘導を行い、癌抑制遺伝子として働くことが知られている。ヒト癌では、Cx遺伝子の癌抑制機能に立脚した癌予防・治療・診断法の構築が試みられている。本研究では、犬乳腺腫瘍に焦点を絞り、犬乳腺腫瘍の発生と関連があるCx遺伝子分子種を特定し、その抑制機構の解明を行うと同時に、特定されたCx遺伝子を標的にした犬乳腺腫瘍の新たな癌予防・治療法構築の可能性を探る。 犬正常乳腺組織および乳腺腫瘍の各CX遺伝子の発現を一般的なRT-PCR法で解析したところ、検出感度に問題が認められた。この問題点を解決するために、各Cx遺伝子特異的にcDNAを合成できるspecific primerを設計し、RT-PCR法を行ったところ、すべての正常乳腺組織でCx遺伝子の発現が認められ、この確立したRT-PCR法を用いて、上記の各犬乳腺組織のCx遺伝子発現解析を行ったところ、正常乳腺組織で発現が認められたCx26およびCx43遺伝子の内、犬乳腺腫瘍の発生の早期にCx26が、後期にCx43がそれぞれ発現抑制傾向が認められた。従って、promotion段階に対しCx26が、progression段階に対しCx43がそれぞれ抑制的に働くことが推測された。そこで次に犬乳腺腫瘍のprogressionに抑制的に働くことが示されたCx43の発現・機能回復を標的にした犬乳腺腫瘍の予防・治療戦略の妥当性を評価するために、マウス腫瘍移植モデルを用いて検討した。その結果、大豆に多く含まれるprotease inhibitorの一種であるBown-Birk inhibitorが、in vivoで腫瘍組織にCx43遺伝子の発現を回復させると同時に、腫瘍組織の顕著な退縮を引き起こすことが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)