2005 Fiscal Year Annual Research Report
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16590001
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
中島 誠 熊本大学, 大学院・医学薬学研究部, 教授 (50207792)
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Keywords | 不斉触媒 / 有機触媒 / ホスフィンオキシド / エナンチオ選択性 / ジアステレオ選択性 / 不斉アルドール反応 / エポキシド / シリルエノールエーテル |
Research Abstract |
機能性オキシド化合物の設計とその触媒反応への応用を目的とし、各種オキシド配位子を設計・合成してその不斉触媒反応への応用を検討して以下の成果を得た。1、最も一般的な光学活性リン配位子であるBINAPから1行程で合成できるキラルホスフィンオキシドBINAPOが四塩化ケイ素によるメソ-エポキシドの不斉開環反応の触媒として有用であることを見出した。本反応は、キラルなホスフィンオキシドを触媒とするエポキシドの不斉開環反応としては初めての例である。2、BINAPOがトリクロロシリルエノールエーテルによるアルデヒドの不斉アルドール反応の触媒として有用であることを見出した。トリクロロシリルエノールエーテルの幾何異性比(E/Z)は生成物のジアステレオ比(anti/syn)に厳密に転写されることから、本反応が高配位シリカートを含む6員環いす型遷移状態を経由して進行することが強く示唆される。本反応は、キラルなホスフィンオキシドを触媒とする不斉アルドール反応としては初めての例である。3、光学活性なリチウムビナフトラートが、トリアルコキシシリルエノールエーテルとアルデヒドの不斉アルドール反応の触媒として有用であり、脂肪族アルデヒドを含む様々なアルデヒドを用いて90%ee以上の高いエナンチオ選択性が得られることが分かった。本反応のジアステレオおよびエナンチオ選択性は、反応系内の水の有無に大きく左右された。これらの結果は、有機合成化学におけるオキシド関連化合物の触媒としての新たな可能性を拓くものである。
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Research Products
(5 results)