2005 Fiscal Year Annual Research Report
顕著な細胞毒性を有するハイブリッドステロイド2量体の合成研究
Project/Area Number |
16590018
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Research Institution | Hoshi University |
Principal Investigator |
津吹 政可 星薬科大学, 薬学部, 助教授 (90163865)
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Keywords | OSW-1 / Wittig転位 / 全合成 / チオフェンメチルエーテル / cephalostatin / グリコシル化 |
Research Abstract |
OSW-1は指田・三巻等によってユリ科の植物であるOrnithogalum Saundersiae鱗茎から単離された新規アシル化コレスタン配糖体であり、各種悪性腫瘍細胞に対して極めて強力な増殖抑制活性を有することが見出されている。OSW-1はadriamycin, camptothecin耐性腫瘍を含む各種悪性腫瘍細胞に対して、臨床で使用されている既存の抗腫瘍薬であるmitomycin C, cisplatin, taxol等に比べても10から100倍以上もの細胞増殖抑制作用を有することから、注目を浴びている。その構造はステロイド2量体であるcephalostatinやritterazineに類似しており、構造活性相関の観点からも興味深い。そこで我々は、ステロイド側鎖部に芳香環を有する新規OSW-1誘導体の合成を企画した。芳香族化合物としてチオフェンやチアゾールを念頭においた。チオフェンの場合、脱硫によりOSW-1の合成も可能となる。芳香環の導入は、17E(20)-ethylidene-16α-arylmethyloxy steroidのWittig転位を用いることとした。先ず、モデル実験としてallyl 2-thiophenemethyl ether類のWittig転位を確立した。この知見を基に、17E(20)-ethylidene-16α-(4-methyl-2-thenyl) oxy steroidのWittig転位によりステロイド側鎖を導入し、16位のオレフィンを足場にtrans-16,17-ジオールに導いた。次いでステロイド受容体とD-xylとL-araからなる二糖の供与体によるグリコシル化を行うことにより、目的とするチオフェン環を有するOSW-1の新規誘導体並びにOSW-1の合成に成功した。
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