2005 Fiscal Year Annual Research Report
対面型ポルフィリン2量体による不斉空間の構築とその合成化学への応用
Project/Area Number |
16590020
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
須田 晃治 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (00087785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高波 利克 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (40241111)
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Keywords | ポルフィリン二量体 / 有機亜鉛反応剤 / 非対称ポルフィリン二量体 / シアノ化反応 / 一級アミノ化反応 / ルイス酸触媒 / Claisen転位反応 / 分子認識 |
Research Abstract |
本研究は、二つのポルフィリン環を持つ分子の新機能、特に合成化学的に有用な触媒機能、及び不斉分子認識機能の開発を目的として行うものであり、本年度は以下の新知見を得た。 (1)ポルフィリン二量体の触媒機能を開発する目的で、ベースとなる単量体のポルフィリンの触媒機能について検討した。その結果、クロムを中心金属として持つCr(tpp)C1を脂肪族アリルビニルエーテルに作用させると、Claisen転位反応が容易に進行し、通常の熱反応とは逆のE配置を持つγ,δ-不飽和アルデヒドを高收率で与えることを見出した。これは、脂肪族アリルビニルエーテルのZ体選択的Claisen転位反応を触媒的に達成した初めての例である。 (2)Pd(0)触媒存在下、meso位にハロゲンを持つポルフィリンにBrZnCH_2CH_2CNを作用させると、この亜鉛反応剤がシアノ源として働き、meso位にシアノ基を持つポルフィリンが收率良く得られることを見出した。この反応は、ポルフィリン二量体の合成素子として有用と考えられるシアノポルフィリンの一般合成法として利用できる。 (3)パラジウム触媒存在下、meso位にハロゲンを持つポルフィリンと末端にエステル基を持つ有機亜鉛反応剤とをカップリングさせると、官能基を持つポルフィリンが高收率で得られる。この官能基化されたポルフィリンを用いると、非対称型ポルフィリン二量体を含む新規なポルフィリン二量体が容易に高收率で構築できることを明らかにした。また、本カップリング反応を用いると対面する二つのmeso位を一挙に官能基化することが可能であり、現在、この様な二点官能基型ポルフィリンを合成素子として用いることにより、これまで類例のないカゴ形ポルフィリン二量体の構築について検討中である。 (4)上述の(三)に示した方法により構築したポルフィリン二量体が配位能の強いアミンだけではなく配位能の弱いアルコールも容易に認識できることを見出した。また、基質に不斉アミンや不斉アルコールを用いると、分散型の円二色性スペクトルが得られ、本ポルフィリン二量体が不斉分子の絶対構造決定の有方なツールとして利用できる可能性を明らかにした。これらの結果の一部を、「第31回反応と合成の進歩シンポジウム、2005/11、神戸」において報告した。
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