2006 Fiscal Year Annual Research Report
対面型ポルフィリン2量体による不斉空間の構築とその合成化学への応用
Project/Area Number |
16590020
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Research Institution | Meiji Pharmaceutical University |
Principal Investigator |
須田 晃治 明治薬科大学, 薬学部, 教授 (00087785)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高波 利克 明治薬科大学, 薬学部, 助教授 (40241111)
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Keywords | ポルフィリン二量体 / 有機亜鉛反応剤 / ポルフィリン二量体 / ルイス酸触媒 / 分子認識 / Claisen転位反応 / 非対称ポルフィリン / ホルミル化 |
Research Abstract |
本研究は、二つのポルフィリン環を持つ分子の新機能、特に合成化学的に有用な触媒機能、及び不斉分子認識機能の開発を目的として行うものであり、本年度は以下の新知見を得た。 (1)脂肪族アリルビニルエーテルとルイス酸との反応では、一般に、協奏的な[3,3]転位だけではなく、基質のイオン的開裂を経由する[1,3]転位も起こることが知られている。これに対し、緩和なルイス酸触媒であるポルフィリン触媒Cr(TPP)Clを用いると、協奏的な[3,3]転位のみが促進され、対応するClaisen生成物を高位置選択的に与えることを見出した。 (2)パラジウム触媒存在下、meso位にハロゲンを持つポルフィリンと末端にエステル基を持つ有機亜鉛反応剤とをカップリングさせると、官能基を持つポルフィリンが高牧率で得られる。この官能基化されたポルフィリンを合成素子として用いることにより、新規なポルフィリン二量体の単工程構築法を確立した。 (3)二つのポルフィリン同士が対面する構造を持つポルフィリン二量体が、配位能の強いアミンだけではなく、従来困難とされてきたアルコールやエーテルなどの配位能が低い分子に対しても強力な分子認識能を発揮することを見出した。また、本ポルフィリン二量体に不斉アミンや不斉アルコールを作用させると、強い分散型の円二色性スペクトルが得られ、この二量体が不斉分子の絶対構造決定の有力なツールとして利用できることを明らかにした。 (4)ポルフィリンにシリルメチルリチウムを作用させた後、DDQで処理することによりポルフィリンのmeso位にホルミル基が導入できることを見出した。また、この反応途上で生じるアニオン活性種を種々の親電子剤で捕捉することにより、二つのmeso位にホルミル基とエノン部位やアシル基を併せ持つ非対称ポルフィリンがone-potで合成できることを明らかにした。
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