2004 Fiscal Year Annual Research Report
病巣部位の選択的治療を目指した抗癌薬や遺伝子の肝臓表面投与製剤の開発
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16590029
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 孝洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20237704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 純三 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30115901)
麓 伸太郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70380988)
中嶋 幹郎 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教授 (00260737)
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Keywords | 肝臓 / 抗癌薬 / 粘性 / 腹腔内投与 / 吸収速度 / 薬物速度論 |
Research Abstract |
今年度は、抗癌薬や遺伝子の肝臓表面投与製剤の開発のための基礎的段階として、抗癌薬5-fluorouracil(5-FU)の肝臓表面からの吸収速度に及ぼす粘性添加剤の影響に関して、以下のことを明らかにしている。 透析膜を介した5-FUのin vitro薬物透過量は、controlと比較して粘性添加剤の存在下において大きく減少し、sodium carboxymethylcellulose(CMC-Na)1%に比べ、polyvinyl alcohol(PVA)15%による透過量の減少の程度が大きいことが示された。 拡散セルを用いて、ラット肝臓表面へ投与後の5-FUの吸収速度定数は、粘性添加剤により低下し、PVA15%の方が吸収速度の抑制効果が高かった。また、血管収縮薬epinephrine添加時よりも低下した。さらに、PVA15%薬液を肝臓表面投与後の、5-HUの肝臓内分布を調べたところ、投与部位近傍の5-FU濃度は他の部位と比較して、60分以降では有意に高い値で推移した。したがって、PVA15%の添加により5-FUの投与部位近傍への選択性が向上することが示唆された。 一方、高分子性薬物のモデルとして選択したFITC-dextran(FD-4,Mw4,400)においても、5-FUの場合と同様に、FD-4の肝臓表面からの吸収速度は粘性添加剤により低下した。また、粘性添加剤の存在下では、FD-4の肝臓表面からの吸収量の減少に伴い、血漿中濃度および尿中排泄量も減少した。さらに、肝臓表面からの薬物吸収速度に及ぼす粘性添加剤の影響は、薬物分子量の違いにより異なることも示された。 以上、肝臓表面投与を利用した癌化学療法に、有用な基礎的情報となることが期待され、今後は遺伝子製剤への粘性添加剤の適用や他の腹腔内臓器への適用製剤の開発へと、研究を進展させる予定である。
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Research Products
(2 results)