2005 Fiscal Year Annual Research Report
病巣部位の選択的治療を目指した抗癌薬や遺伝子の肝臓表面投与製剤の開発
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16590029
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
西田 孝洋 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (20237704)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中村 純三 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30115901)
麓 伸太郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (70380988)
中嶋 幹郎 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (00260737)
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Keywords | 肝臓 / 抗癌薬 / 薬物相互作用 / 肝障害 / 腹腔内投与 / 薬物速度論 |
Research Abstract |
抗がん薬や遺伝子医薬品を肝臓表面投与後の臓器内分布と治療効果との関連性、および臨床応用に最適な多様な機能を有する製剤の設計を最終的な目的としている。がん化学療法においては、がん細胞に発現する排出型トランスポーターを選択的に阻害し、多剤耐性を克服できる新規ドラッグデリバリーシステムの開発が望まれている。我々が新規投与形態として提案し、これまでに様々な角度から検討している臓器表面適用法を利用することにより、トランスポーター阻害薬が標的臓器選択的に阻害効果を示すのではないかと考えられる。そこで本年度においては、臓器表面適用法を利用した臓器選択的な消失過程の阻害に関する基礎的知見を得るために、有機アニオンphenolsulfonphthalein(PSP)の消失過程を、適用臓器選択的に有機アニオン輸送阻害薬probenecidにより阻害することを目的として、肝臓表面適用法、腎臓表面適用法で検討を行い、比較対象を静脈内投与とした。 比較対象としたprobenecidの静脈内投与群においては、臓器選択的なPSPの輸送阻害効果は示されなかった。肝臓表面投与群においては、今回の条件では、probenecidの阻害効果は肝臓、腎臓いずれにおいても示されなかった。一方、腎臓へprobenecidを直接適用することにより、PSPの腎クリアランスはコントロール群の20%に低下した。したがって、肝臓へ移行するprobenecidの量が最小限に抑えられて、腎臓における尿細管分泌が強く阻害されたと推察された。今回の適用条件では、probenecidの腎臓表面適用法により腎臓選択的な阻害効果が示された。今後、抗がん薬と排出型トランスポーター阻害薬の併用療法に向けて重要な基礎的知見が得られたと考えられる。
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