2005 Fiscal Year Annual Research Report
過酸化脂質の高選択的かつ超高感度化学発光検出法の開発と生体試料分析への応用
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16590030
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Research Institution | NAGASAKI UNIVERSITY |
Principal Investigator |
黒田 直敬 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (50234612)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大庭 義史 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教授 (50274478)
岸川 直哉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助手 (90336181)
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Keywords | 過酸化脂質 / 紫外線照射 / 化学発光検出 / ヒドロペルオキシド / フェントン反応 |
Research Abstract |
本研究では、生体内の酸化還元情報を得るための指標として、過酸化脂質に着目し、その選択的かつ高感度な化学発光分析法の確立を試みた。このための手段として高速液体クロマトグラフィー/オンライン紫外線照射/過シュウ酸エステル化学発光検出系を創案した。本システムを用いた場合、標的分子が過酸化部位と蛍光骨格の両者を有する場合のみ、紫外線照射がトリガーとなって化学発光を生じることから、極めて選択的に過酸化脂質を識別することが可能になると考えた。また、このシステムでは、シュウ酸ジエステル以外のポスト試薬が不要なため、ノイズの低減が可能となり、大幅な感度の増加が期待できる。 前年度までの研究において、本法の選択性に関しては期待通りの結果が得られたものの、感度に関しては蛍光検出よりも劣る結果が得られた。この原因を調査したところ、紫外線照射によるヒドロペルオキシドから過酸化水素の生成率の低さ(0.5%)が原因であることが明らかとなった。そこで紫外線照射に代わる方法としてフェントン反応に注目し、ヒドロペルオキシドからヒドロキシルラジカルあるいは過酸化水素の生成を試みたところ、過酸化水素量に換算して7.4%の収率が観測された。この収率は紫外線照射法による収率の約15倍であった。今後、さらに条件の最適化を行うことで、この収率はさらに向上するものと期待できる。 以上、化学発光検出に基づく過酸化脂質の高選択的かつ高感度な定量法の開発を試みた。本研究においては、ヒドロペルオキシドと蛍光性化合物の両者を有する標的分子のみが選択的応答を示す分析システムの構築を試みたが、この蛍光性化合物は化学発光性化合物に置き換えることも可能である。今後、ヒドロペルオキシドから化学発光に関与する活性酸素種を高い収率で産生可能な反応あるいはシステムを追求することで、さらに高感度な過酸化脂質定量法が開発可能と考える。
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Research Products
(4 results)