2004 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキソ架橋型制がん活性白金複核錯体の新奇反応に関する研究
Project/Area Number |
16590037
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50025699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齊藤 睦弘 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (90186974)
佐藤 卓史 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (80257899)
米田 誠治 大阪薬科大学, 薬学部, 日本学術振興会特別研究員(PD)
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Keywords | シスプラチン / 制癌活性白金錯体 / 制癌剤 / シスプラチン耐性がん / 複核錯体 / プロトネーション / 正方平面型白金錯体の置換反応 |
Research Abstract |
本年度は、以下のような成果を得た。 (1)ピラゾールの4位にメチル、エチル、プロピル、臭素、置換基を有する誘導体を合成した。これらを含むピラゾールおよびヒドロキソ架橋型白金二核錯体を合成し、それらのがん細胞増殖抑制活性をシスプラチン耐性のマウス白血病細胞L1210を用いて検索した。その結果、白金錯体の細胞増殖抑制活性の強さの序列は、4-プロピル>4-エチル>4-メチル>4-臭素>4-H(ピラゾール)>シスプラチンとなった。 (2)4-エチルピラゾール架橋を含むヒドロキソ架橋白金錯体についてはX線結晶構造解析を行った。 (3)本複核白金錯体の配位子置換反応は、全体としては正方平面白金(II)錯体の置換反応機構に従うが、反応初期でのプロトネーションによるヒドロキソ架橋の解離を実証するために、塩化物イオンとの置換反応を例として、pHを変化させて反応の時間経過を1H-NMR法、HPLC法などにより追跡し、反応速度論的に詳細に解析した。その結果、塩化物イオンとヒドロキソ基(配位水)との置換反応は酸性領域において生じること認めた。すなわち、本置換反応は、ヒドロキソ架橋がプロトンの攻撃を受けてはじめて開始されるものと考えられる。また、クロロ架橋型錯体を含む溶液内の複雑な平衡関係を解析した。正方平面白金(II)錯体の置換反応において、このようなプロトネーションが協奏する例は極めて珍しい。酸性領域において置換活性であるが、生理的pH領域では置換反応が極めて遅いことが、制がん活性の発現に関係している可能性がある。
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Research Products
(2 results)