2005 Fiscal Year Annual Research Report
ヒドロキソ架橋型制がん活性白金複核錯体の新奇反応に関する研究
Project/Area Number |
16590037
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Research Institution | Osaka University of Pharmaceutical Sciences |
Principal Investigator |
千熊 正彦 大阪薬科大学, 薬学部, 教授 (50025699)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
齋藤 睦弘 大阪薬科大学, 薬学部, 講師 (90186974)
佐藤 卓史 大阪薬科大学, 薬学部, 助手 (80257899)
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Keywords | シスプラチン / 制がん活性白金錯体 / 制がん剤 / シスプラチン耐性がん / 複核錯体 / 核酸 / 非共有結合性相互作用 |
Research Abstract |
本年度は、ピラゾール(あるいは4-メチルピラゾール)およびヒドロキソ架橋をともに有する白金二核錯体と仔牛胸腺核酸(DNA)との間に認められる非共有結合性相互作用について、円二色スペクトル(CD)法、DNAの融解温度測定および粘度測定、核酸のインターカレーターであるエチジウムと白金錯体との競合反応の解析などにより精査して、以下のような成果を得た。なお、本白金錯体は、5'-グアノシン-1-リン酸(5'-GMP)のような核酸塩基と生理的pHで反応するとき、反応は著しく遅く温度60度で24時間の反応時間を必要とする。この遅い反応は、生理的pHで相対的に置換不活性なヒドロキソ架橋配位子が水分子と置換した後に、白金錯体が核酸塩基と共有結合(配位結合)するものである。一方、本研究課題により検討する非共有結合性相互作用は、共有結合生成反応に比べると著しく速く、反応開始直後から認められる。 1 新規複核白金錯体とDNAとの間に認められる非共有結合性相互作用には、2種類ある。 2 2種の非共有結合性相互作用のうち一方は、塩化ナトリウムのような電解質を加えることにより消失したので、DNAのリン酸基とカチオン性白金錯体との間のイオン性相互作用であると推定した。 3 非共有結合性相互作用のうち他方は、イオン性相互作用より強い結合であり、エチジウムとの競合反応の解析から、groove binding、とくにminor groove bindingであると推定した。 4 DNAの粘度測定から、非共有結合性相互作用にインターカレーションは含まれないと推定した。 5 本新規複核白金錯体群のもつシスプラチン耐性がん細胞増殖抑制能と本非共有結合性相互作用の関連について今後検討したい。
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Research Products
(1 results)