2005 Fiscal Year Annual Research Report
カルシウム透過チャネルのカルシウムシグナル複合体による開閉制御機構
Project/Area Number |
16590043
|
Research Institution | Toho University |
Principal Investigator |
赤羽 悟美 東邦大学, 医学部, 助教授 (00184185)
|
Keywords | シグナル伝達 / 発生・分化 / 不整脈 / カルシウム / カルシウムチャネル / 薬理学 / 循環器・高血圧 / 細胞骨格 |
Research Abstract |
1)心房に発現する2種類のL型Ca^<2+>チャネル、α_<1c>サブユニット(Cav1.2)とα_<1D>サブユニット(Cav1.3)はそれぞれ異なる機能的役割を担う。特にCav1.3は静止膜電位付近の脱分極に応答して開閉するため、ペースメーカー活動およびその自律神経や薬物による調節において重要な役割を担うと考えられる。そこでCav1.3のユニークな電位依存性を担う分子内領域を探索し、決定的な役割を担うアミノ酸を同定した。 2)心筋細胞の分化・発達過程においてCav1.2と相互作用してその細胞内局在または機能を調節する蛋白を酵母two-hybrid法により探索した結果、Cav1.2のカルボキシル末端領域と相互作用する蛋白(PCTP-L)を見出した。興味深いことにこの蛋白は心臓では心房に特異的に発現していた。PCTP-LはCav1.2との相互作用を介して電位依存性不活性化を抑制し、心房筋細胞において内在性のPCTP-LをRNAiによりノックダウンしたところ、活動電位持続時間が有意に短縮し自動能が亢進することを見出した。 3)右心房および左心房の肥大モデルラットにおいてPCTP-Lの発現レベルが低下することを見出した(横浜市立大学医学部・南沢亨博士の協力を得て)。上記1)の結果と合わせて、心房肥大に伴うPCTP-Lの発現低下によりCa^<2+>チャネルの不活性化機構が亢進し、活動電位持続時間が短縮し不応期短縮により心房性不整脈に至る可能性が示唆された。 PCTP-Lとの相互作用に重要なCav1.2の細胞内領域を同定し、この領域をコードするペプチドフラグメントを過剰発現させることによりPCTP-LとCav1.2の相互作用を阻害しようと試みた。しかしながら、このペプチドフラグメントによりCa^<2+>チャネルの不活性化機構が修飾されることが判明したため、阻害実験に利用することはできなかった。一方、Cav1.2のカルボキシル末端のこの領域がCa^<2+>チャネルの不活性化機構に関与することが示唆された。
|
Research Products
(4 results)