2004 Fiscal Year Annual Research Report
中脳ドパミンニューロンの障害における活性窒素種の複合的作用の解明
Project/Area Number |
16590048
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
香月 博志 京都大学, 薬学研究科, 助教授 (40240733)
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Keywords | 神経変性疾患 / パーキンソン病 / 酸化的ストレス / 一酸化窒素 / ニトロチロシン / 炎症性応答 |
Research Abstract |
パーキンソン病において認められる中脳ドパミンニューロンの変性における活性窒素種および関連化合物の役割について検討した。1.リポ多糖処置によって培養中脳切片内のミクログリアを活性化すると、誘導型一酸化窒素(NO)合成酵素の発現増大とそれに伴うNO産生の増大を介してドパミンニューロン死が誘発された。この時、SODおよびcatalase、あるいはSOD/catalase様活性を有するEUK-134の処置はドパミンニューロンに対して保護効果を示さなかった。また、主要なsuperoxide発生源と考えられるNADPH oxidaseの阻害薬は高濃度で適用した場合にのみドパミンニューロンを保護したが、この時NO産生量も同時に減少していた。したがって、ミクログリア由来のNOはsuperoxideとの反応によるperoxynitriteの産生を介さずにドパミンニューロンの障害を誘発するものと結論された。2.チロシンとNO関連分子種との反応で生成することが知られる3-ニトロチロシン(3-NT)は、濃度および時間依存的に培養中脳切片内のドパミンニューロンの変性を誘発した。3-NTのドパミンニューロンに対する障害は、大過剰の中性アミノ酸(tyrosine、isoleucine)によって顕著に抑制されたことから、アミノ酸トランスポータを介する細胞内への取込みが3-NT毒性の発現に必須であることが示唆された。また、3-NTの処置は切片内のsuperoxide産生を促進すること、3-NT毒性がEUK-134、アスコルビン酸、および鉄キレータのdeferoxamineによって抑制されることも明らかになった。したがって、3-NTは細胞内でのsuperoxide発生源となることによって、ドパミンニューロンの障害を増悪する要因として働く可能性が示された。
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