2006 Fiscal Year Annual Research Report
新たに見出した脂肪細胞の新機能と生活習慣病態との連関の解明ならびに制御剤の開発
Project/Area Number |
16590054
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Research Institution | Kumamoto University |
Principal Investigator |
國安 明彦 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助教授 (90241348)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中山 仁 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 教授 (70088863)
川原 浩一 熊本大学, 大学院医学薬学研究部, 助手 (10347015)
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Keywords | 脂肪細胞 / アディポサイトカイン / CD36 / 酸化ストレス |
Research Abstract |
申請者らは、酸化LDLやAGEの取り込みによって悪玉アディポカインであるPlasminogen activator inhibitor-1(PAI-1)やレジスチンの分泌量が増大し、逆に抗肥満因子であるレプチンの産生量が減少することを明らかにしてきた。 本年度は、PAI-1とレジスチンの産生増大を引き起こす酸化LDL中の活性成分を探索した。 1)リゾホスファチジルコリン(LPC)によるPAI-1分泌促進機序の解明 PAI-1の転写活性化を促進する酸化LDLの成分が、リゾホスファチジルコリン(LPC)であることを明らかにした。LPCは、活性酸素種(ROS)の産生を促し、このROSがPAI-1の転写活性化を起こすことを明らかにした。さらに、LPCはIL-6、MCP-1の発現をも増大させ、アディポネクチンの産生を減少さるという病態生理学的に興味深い知見が得られた。 2)レジスチン翻訳活性化を誘導する酸化変性脂質成分の分離 酸化LDLは翻訳レベルを活性化することでレジスチン発現を増大させることが分かった。また、この翻訳調節にはレジスチンmRNA上の3'-UTR側が重要であることをルシフェレーゼアッセイにより明らかにした。さらに、酸化LDL中の翻訳促進因子についてHPLCによる探索を行い、脂質成分中に活性画分を得た。今後、化学構造の同定を行なう。 酸化LDLによるアディポカイン産生促進の分子機序の解析を行ない、異なる脂質成分が、異なる分子機序でアディポサイトカイン産生に影響を引き起こすことを明らかにした。今後は、in vivoでの検証と、酸化変性脂質を標的とした治療候補薬のスクリーニングを行う。
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