2005 Fiscal Year Annual Research Report
経口投与できる抗体医薬をめざした鼻咽頭リンパ組織を利用したIgA抗体の製造
Project/Area Number |
16590055
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Research Institution | University of Shizuoka |
Principal Investigator |
今井 康之 静岡県立大学, 薬学部, 教授 (80160034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
黒羽子 孝太 静岡県立大学, 薬学部, 助手 (90333525)
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Keywords | 抗体医薬 / IgA / 粘膜免疫 / ベロ毒素 / モノクローナル抗体 / 糖鎖認識 |
Research Abstract |
経口投与によって粘膜局所で働く抗体医薬の創製をめざし、マウス鼻咽頭リンパ組織(NALT)を利用してIgA型モノクローナル抗体の作製を実施するとともに、性状解析を行った。腸管出血性大腸菌O157:H7由来のベロ毒素の糖鎖結合サブユニット(Stx1Bに結合するIgAモノクローナル抗体の作製に成功した。また、コレラ毒素や卵白アルブミンに対するIgAモノクローナル抗体の作製にも成功した。Stx1Bに対するIgAモノクローナル抗体は、ポリマー型人工糖鎖リガンドの固相化Stx1Bへの結合を強力に阻害したが、CD77陽性のバーキットリンパ腫RAMOS細胞への可溶性Stx1Bの結合を強く阻害できなかった。一方、脾臓細胞から作製したStx1Bに対するIgGモノクローナル抗体は、RAMOSへのStx1Bの結合を完全に阻害するとともに、Stx1ホロトキシンが誘導するアポトーシスを有効に阻害した。BIACOREのセンサーチップに抗IgA(あるいはIgG)抗体を固相化し、モノクローナル抗体をキャプチャーさせ、アナライトとして可溶性StxlBを導入して結合解離速度を比較した。現在得られているIgAモノクローナル抗体を用いた場合でも、Stx1Bの結合を表面プラズモン共鳴で特異的に検出できることが証明された。しかし、IgG抗体と比較すると結合および解離速度の両面において劣っていた。この結合親和性の違いが生物活性の違いに現れているのか、IgA分子特有の立体障害が原因であるのかは今後の研究課題である。一方、IgAおよびIgG型モノクローナル抗体のH鎖およびL鎖のcDNAをクローニングし、IgGの可変部とIgAの定常部を持つキメラ遺伝子を作製した。また、Stx1Bに対する粘膜免疫の誘導においても、リポソームを用いた粘膜局所への抗原導入の有効性が明らかとなった。
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Research Products
(2 results)