2004 Fiscal Year Annual Research Report
GPx4の発生および種々の疾患モデルにおける機能解析
Project/Area Number |
16590059
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Research Institution | Kitasato University |
Principal Investigator |
中川 靖一 北里大学, 薬学部, 教授 (00119603)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
今井 浩孝 北里大学, 薬学部, 助教授 (50255361)
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Keywords | グルタチオペルオキシダーゼ / 精子形成 / ethane dimethane sulfonate / アポトーシス |
Research Abstract |
細胞内の脂質ヒドロペルオキシドを消去する唯一の抗酸化酵素であるリン脂質ヒドロペルオキシドグルタチオンペルオキシダーゼ(GPx4)が男性不妊患者の精子での発現が著しく低下していることを明らかにしてきた。GPx4の発現が半減したヘテロマウスを用いて、GPx4の精巣での役割を検討した。不妊を引き起こすことの知られているethane dimethane sulfonate(EDS)をオスマウスに投与し、精巣障害を誘導し、wildとヘテロマウスの比較を行った。EDSを投与すると、GPx4の発現が低下したヘテロマウスでは精巣重量が低下し、その減少はwildマウスより顕著であった。精巣組織を観察したところ、EDSを投与したヘテロマウスの精巣では精細管の周囲において精子形成細胞の脱落が起きていることが明らかとなった。このヘテロマウスでの脱落はwildマウスに比較してEDS投与後、早い時期に見られることから、ヘテロマウスの精巣はwildマウスに比較してEDSに対して高い感受性をもっていることが明らかとなった。EDSによる障害がアポトーシスによるものか否かを明らかにするため、TUNEL法を用いて検討した。wildのマウスにおいてはEDS投与した2週間でTUNEL陽性細胞が現れ、3週間では約45%の精細管がTUNEL陽性を示した。一方、ヘテロマウスではEDS投与、1週間でTUNEL陽性細胞が観察され、2週間後では、すでに約33%の精細管がTUNEL陽性であった。このことは、GPx4の発現が低下すると、精巣障害に伴うアポトーシスの誘導が起きやすくなることを示している。また、本研究により、GPx4が精巣において抗アポトーシス因子として機能していることが、個体レベルで明らかとなった。
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Research Products
(4 results)