2004 Fiscal Year Annual Research Report
神経細胞の死と生存を決定するミトコンドリア遺伝子発現制御メカニズム
Project/Area Number |
16590073
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
荻田 喜代一 摂南大学, 薬学部, 教授 (90169219)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉山 千絵 摂南大学, 薬学部, 助手
米田 幸雄 金沢大学, 大学院・自然科学研究科, 教授 (50094454)
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Keywords | グルタミン酸 / カイニン酸 / 転写因子 / ミトコンドリア / DNA / トリメチルスズ / 海馬 / 神経細胞死 |
Research Abstract |
有機スズのトリメチルスズ(TMT)は、ヒトおよびゲッ歯類において神経変形および行動異常を引きおこすことが知られる。我々は、TMTがマウス海馬歯状回顆粒細胞に選択的な神経細胞死を誘発することを既に報告した。本研究では、TMT誘発性神経細胞傷害におけるミトコンドリア機能の関与を解明する目的で、TMT投与マウスの海馬ミトコンドリアDNAの変異について解析した。ddY系雄性マウスにTMT(2.8mg/kg)を腹腔内投与し、一定時間経過後に海馬から全DNAを調製した。ミトコンドリアDNAの検出は特異的なプライマーを用いたPCR法により行い、PCR産物について塩基配列を解析した。TMT投与後、6時間、16時間および24時間に調製した海馬全DNAについて、ミトコンドリアDNAの中でNADH-ubiquinone oxidoreductaseサブユニット(ND1およびDN6)、cytochrome bおよびcytochrome c oxidase サブユニット(COI、COIIおよびCOIII)の領域をPCR法で増幅したところ、ND1およびDN6領域のPCR産物の著しい減少がみられることが判明した。これらに対して、cytochrome bおよびCOI、COIIおよびCOIIIの領域のPCR産物は著変を示さなかった。ND1およびDN6領域のPCR産物の塩基配列を決定したところ、それぞれ33箇所および20箇所の変異がみられることが明らかとなった。以上の結果より、TMTは海馬ミトコンドリア遺伝子の変異を誘発することが明らかとなり、TMT誘発性神経細胞傷害にミトコンドリア遺伝子の変異に基づくミトコンドリア機能障害が関与する可能性が推察される。
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Research Products
(6 results)