2005 Fiscal Year Annual Research Report
免疫反応の制御をめざしたウイルスベクターによる抗体医薬開発のための基礎研究
Project/Area Number |
16590086
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Research Institution | Kagoshima University |
Principal Investigator |
伊東 祐二 鹿児島大学, 工学部, 助教授 (60223195)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
杉村 和久 鹿児島大学, 工学部, 教授 (80127240)
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Keywords | ヒト抗体 / ワクチン / センダイウイルスベクター / 免疫制御 / 抗体ファージライブラリ |
Research Abstract |
本研究では、自己免疫疾患治療、ガンなどの治療に重点をおいた抗体医薬の開発とその遺伝子治療への応用を目的に、補助刺激分子に特異的なヒト抗体(阻害抗体)遺伝子を発現するウイルスベクターによるT細胞応答の制御効果を評価することを試みた。本研究で、すでに、抗CD86抗体、抗B7RP-1抗体、抗HMGB-1抗体などをヒト抗体ファージディスプレイライブラリから単離し、その抗原との結合活性を詳細に検討した。抗CD86抗体、抗B7RP-1抗体は、その抗原である抗原提示細胞に存在するCD86、B7RP-1に結合し、カウンターレセプターとの相互作用をブロックすることで、免疫抑制効果をもつことを明らかにした。一方で、抗HMGB-1抗体については、ガンや敗血症において、致死的因子として近年注目されているHMGB-1の炎症性機能をブロックする目的でいくつかの特異的な抗体を単離したが、未だ、HMGB-1の炎症性サイトカインの機能を阻害するところまでには至っていない。これらの抗体遺伝子を免疫系のあるいは血管内内皮系の細胞にウイルスベクターにより導入発現させ、免疫制御や炎症の制御を行う実験を試みた。実際にセンダイウイルスベクターにGFP遺伝子を搭載して、細胞に感染後その細胞内での発現がおこることは確認した。しかしながら、抗体遺伝子(単鎖Fv抗体)をセンダイウイルスベクターに搭載し、細胞外への分泌発現並びに発現された抗体による免疫制御活性の測定を試みたが、満足の行く結果は得られなかった。以上の結果から、発現される単鎖Fv抗体の発現量と安定性に問題があると考えられ、ウイルスベクターで動物細胞に発現させた場合、発現量が高く安定で力価の高い単鎖Fv抗体への変換が必要であり、現在引き続き、研究を行っている。
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Research Products
(2 results)