2005 Fiscal Year Annual Research Report
アルツハイマー病の抗神経細胞死ペプチド性因子ヒューマニン療法の構築
Project/Area Number |
16590088
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Research Institution | KEIO University |
Principal Investigator |
橋本 祐一 慶應義塾大学, 医学部, 助手 (00317330)
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Keywords | アルツハイマー病 / 神経細胞死 / ヒューマニン / シグナル伝達 / アミロイド前駆体タンパク質 / TGFβ2 |
Research Abstract |
1 ヒューマニン(HN)の作用機構の解明とHN誘導体の作成 我々が発見したアルツハイマー病(AD)関連神経細胞死を抑制するHNの細胞内シグナルに関わる分子を検討した。その結果、HNの抗AD神経細胞死抑制活性は、チロシンキナーゼ阻害剤処理および優性抑制性STAT3変異遺伝子の導入により消失すること見い出した。このことから、HN受容体を構成する分子群は、STAT3を活性化出来、膜受容体型チロシンキナーゼ活性を有しているものと考えられた。現在HN受容体を構成する分子の同定を進めている。 また、種々の神経毒性に対し拮抗する活性依存性神経栄養因子(ADNF)は9アミノ酸からなる単鎖ペプチドである。このADNFペプチドのC末端にHN誘導体の1つであるAGA-C8R-HNG17を付加したペプチド「コリベリン(Col : Colivelin)」を作成し、in vitroおよびin vivoの両面からその効果を検討した。その結果、ColはAD治療薬候補なる十分な可能性があることを見い出した。 2 アミロイド前駆体タンパク質(APP)のリガンドの同定 APPの細胞外領域に対する抗体で神経細胞を刺激することや家族性ADに連鎖するAPP変異遺伝子産物が細胞死を誘導することを我々を含む複数のグループが報告している。これらのことから、APPには細胞死を誘導する受容体としての機能があることが予想されていた。APPの細胞外領域に結合する分子を探索した結果、TGFβ2が、APPの細胞外領域に結合し、かつAPP依存性に神経細胞死を誘導出来るリガンドであることを発見した。また、現在最も広く使用されているADモデルであるTg2576マウス(18ケ月齢)の大脳皮質においてTGFβ2が増加していることを明らかにした。これらのことは、局所的なTGFβ2の増加が、現在のところ未知である孤発性ADの発症原因の1つとして考えられることを示唆している。
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Research Products
(4 results)