2006 Fiscal Year Annual Research Report
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16590090
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Research Institution | National Institute of Radiological Sciences |
Principal Investigator |
伊古田 暢夫 独立行政法人放射線医学総合研究所, 特別上席研究員 (80159649)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中西 郁夫 独立行政法人放射線医学総合研究所, 粒子線生物研究グループ, 主任研究員 (70356137)
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Keywords | フリーラジカル / スーパーオキシド / 活性酸素消去剤 / 放射線防護剤 / ビタミンE誘導体 |
Research Abstract |
生体が放射線、有害金属などに曝されるとスーパーオキシド、ヒドロキシルラジカル、ペルオキシルラジカル、一酸化窒素などのフリーラジカルが生成する。また炎症などによってもフリーラジカルは生成する。通常、生体中の防御機構いより障害は起こらない。しかし、放射線被ばくなど一時的に多量に生じるフリーラジカルを消去しきれないと種々の障害が起きる。本研究では、種々のフリーラジカル種に対する消去化合物を探索した。本年度はニトロキシドのラジカル消去機構について検討し、得られた情報を基に抗酸化能の高いカテキン誘導体を開発した。一方、マウスを用いたin vivo評価においては抗酸化ミネラルを含有する熱処理酵母やγ-トコフェロールーN, N-ジメチルグリシンエステル塩酸塩の致死量放射線(7-8Gy)に対する有効性を調べた。 フェノール性水酸基を有するカテキンやビタミンEなどの天然抗酸化物質は、フリーラジカルを水素移動反応により効率良く消去する。水素移動反応には、1段階の水素原子移動機構と、フリーラジカルへの電子およびプロトンが2段階で移動する反応機構がある。電子移動反応が金属イオンによって顕著に加速される性質を利用し、カテキンによるフリーラジカル消去は、Mgイオンによって顕著に加速され電子移動を経由すること、ビタミンEモデルでは、Mgイオンによる加速効果は観測されず、1段階の水素原子移動機構で進行することを既に明らかにしている。今年度は、活性酸素やフリーラジカルを消去して放射線防護作用を示すニトロキシルラジカルの消去機構を調べ、電子移動経由であることを明らかにした。これまで得られた反応機構の情報に基づき、アルキル基を導入した種々の平面型カテキン誘導体を合成し、フリーラジカル消去活性を調べると、天然型カテキンに比べ5-10倍高かった。放射線に対するin vivo評価では、抗酸化ミネラル含有熱処理酵母やγ-トコフェロールーN, N-ジメチルグリシンエステル塩酸塩の放射線防護作用をマウスの30日間生存率から調べ、両者ともに照射後投与(7.5Gy全身照射後100mg/Kg腹腔内投与)で対照群に対し有意に防護効果が認められた。
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Research Products
(5 results)
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[Journal Article] Scandium Ion-accelerated Scavenging Reaction of Cumylperoxyl Radical by a Cyclic Nitroxyl Radical via Electron Transfer2007
Author(s)
I.Nakanishi, K.Kawaguchi, K.Ohkubo, T.Kawashima, S.Manda, H.Kanazawa, K.Takeshita, K.Anzai, T.Ozawa, S.Fukuzumi, N.Ikota
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Journal Title
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[Journal Article] Comparison of Stable Nitroxide, 3-Substituted 2,2,5,5-tetramethylpyrrolidine-N-oxyls, with Respect to Protection from Radiation, Prevention of DNA Damage and Distribution in Mice2006
Author(s)
K.Anzai, M.Ueno, I.Nakanishi, N.Ikota, et al.
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Journal Title
Free Radical Biology and Medicine 40
Pages: 1170-1178
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