2004 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙が血液の酸化状態を介して血管壁を障害する一連の機構の解明
Project/Area Number |
16590100
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
国友 勝 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (40125133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 優 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (90183681)
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Keywords | 喫煙 / 動脈硬化 / Peroxynitrite / 酸化ストレス / 3-Nitrotyrosine / 肺胞膜 / マトリゲル |
Research Abstract |
我々は、喫煙者の血漿中に増加する酸化変性LDLの生成にperoxynitriteが関わっていることを示唆してきた。今回は、たばこ煙水抽出液(CSE)に含まれるperoxynitrite放出物質が肺胞壁を透過し、LDLの酸化変性を起こし得るかどうかについて検討した。 CSE及び既知のperoxynitrite発生物質SIN-1及びperoxynitrite(NaOH溶液)を用い、それらが人工基底膜のマトリゲルまたは摘出ラット肺胞壁を透過するかどうかを、それらの物質が各障壁を透過した後、外液層のtyrosine溶液と反応して生成する3-nytrotyrosine(3-NT)量を測定することによって判定した。その結果、CSE中のperoxynitrite放出物質はマトリゲル及び肺胞壁を容易に透過したが、その透過速度及びニトロ化反応速度は共にかなり遅かった。一方、peroxynitrite(NaOH溶液)は両膜とも瞬時に透過し、外液のtyrosineを速やかにニトロ化した。SIN-1は膜を透過できなかった。また、肺胞マクロファージに、LPSを処置すると、顕著なNOx量の増加が認められたのに対し、CSE処置では培養上清にNOx量の有意な増加はみられなかった。 以上の結果より、peroxynitriteは人工基底膜と同様に瞬時に肺胞壁と透過して3-NTを生成したのに対して、CSEは肺胞壁を徐々に透過して外液のtyrosineと徐々に反応することが明らかとなった。一方、CSEの刺激により、マクロファージが活性化され、放出されるNOがO_2と反応して、間接的にperoxynitriteが生成される可能性は低いことが分かった。
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Research Products
(6 results)