2006 Fiscal Year Annual Research Report
喫煙が血液の酸化状態を介して血管壁を障害する一連の機構の解明
Project/Area Number |
16590100
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Research Institution | Mukogawa Women's University |
Principal Investigator |
国友 勝 武庫川女子大学, 薬学部, 教授 (40125133)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
山口 優 武庫川女子大学, 薬学部, 助手 (90183681)
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Keywords | 喫煙 / 動脈硬化 / Peroxynitrite / 酸化ストレス / 3-Nitrotyrosine / アポE欠損マウス / たばこ煙水抽出液 |
Research Abstract |
我々は喫煙によって生成するperoxynitrite類似反応物質が全身の酸化ストレスを増大させることを示唆してきた。今回は、動脈硬化易発生アポE欠損(KOR)マウスに喫煙処置した場合、酸化ストレス及び動脈硬化病変にどのような影響が及ぶのかについて、ビタミンE投与の効果とともに検討した。また、たばこ煙水抽出液(CSE)中のperoxynitrite類似反応物質の分離・同定も試みた。 0.15%コレステロール飼料またはそれに0.3%ビタミンEを点火した飼料でKORマウスを飼育し一定量のたばこ煙を連日15分間暴露させた。経時的に血清中の脂質、酸化ストレスマーカー及び炎症マーカーを測定し、16週間後に大動脈中の脂質及び3-nitrotyrosine(3-NT)を測定した。一方、CSEをHPLCにて分画し、ニトロ化能を有する画分のLD/MS分析も行った。 その結果、たばこ煙暴露KORマウスの血清酸化ストレスマーカーである過酸化脂質、酸化LDL及び3-NTの各値は著しく増加し、これらの変化はビタミンE投与により有意に抑制さされた。しかし、血清脂質であるコレステロール及びトリグリセリド及び炎症性マーカーである3-chlorotyrisine及びhsCRPの各値に変化がみられなかった。実験終了時、大動脈のコレステロールエステル及び3-NT含量が著明に増加し、それらはビタミンE投与により著明に抑制された。以上の結果より、KORマウスにたばこ煙を暴露すると、peroxynitrite類似反応物質によると考えられる酸化ストレスが増大すること、それによって動脈硬化病変形成が促進されることが明らかとなった。 また、たばこ煙中のperoxynitrite類似反応物質をHPLCで分離しLC/MSで同定することを試みた結果、ニトロ化能を有する有望な2,3の画分が見出された。これらの画分には比較的低分子で、揮発性及び非揮発性物質の存在することが示唆された。現在これらLC/MS分析で確認された物質がニトロ化能を有するか検討中である。今後、ニトロ化能を有する画分のさらなる分離及び精査を行う必要がある。
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Research Products
(4 results)