2004 Fiscal Year Annual Research Report
再生医療を目指した基礎的研究:正常ヒト胎児肝細胞の分化と薬物動態試験への応用
Project/Area Number |
16590109
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Research Institution | Shinshu University |
Principal Investigator |
松永 民秀 信州大学, 医学部附属病院, 助教授 (40209581)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大森 栄 信州大学, 医学部, 教授 (70169069)
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Keywords | 正常ヒト胎児肝細胞 / 移植 / 分化 / シトクロムP450 / CYP3A4 / CYP3A7 / RU-486 / グルココルチコイド受容体 |
Research Abstract |
正常ヒト胎児肝細胞(HFL細胞)はマウスに移植後、皮下では14日目に、肝臓では60日目に細胞塊を形成した。形成した細胞塊は移植前のHFL細胞と比較した場合、CYP3A、ALBおよびアルファフェトプロテイン(AFP)のmRNAの発現量が顕著に増加した。また、免疫染色の結果、皮下に形成されたHFL細胞由来の細胞塊には、抗サイトケラチン7抗体で陽性の細胞が多く検出されたことから、胆管上皮細胞に分化していることが明らかとなった。また、これらの細胞は管状構造を形成していることから、胆管構造を有することが示唆された。一方、肝臓に形成された細胞魂は、胆管上皮細胞と抗ヘパトサイト抗体陽性の肝実質細胞に分化していた。また、平面培養においてHFL細胞におけるCYP3A4mRNAの発現は、各種副腎ステロイド(10nM)によって誘導され、その強度は糖質コルチコイド作用(抗炎症力価)に対し高い相関性が認められた。CYP3A7においてもトリアムシノロン、ベタメタゾン及びデキサメタゾン(DEX)により強く誘導された。DEXによるCYP3Asの誘導は、100μMよりもむしろ100nMにおいていずれも強く誘導された。また、DEX(100nM)によるCYP3Asの誘導は、グルココルチコイド受容体(GR)アンタゴニストであるRU-486(5μM)で顕著に抑制された。成人の肝細胞でCYP3Asの誘導に関与することが報告されているヒトプレグナンX受容体及びヒトコンスティテユーティブアンドロスタン受容体のmRNAの発現は、HFL細胞において検出することは出来なかった。一方、GRの発現はいずれの処理においても確認され、その発現量に変動は認められなかった。RNA干渉法によりGRを約40%ノックダウンした場合、DEXによるCYP3A4及びCYP3A7の誘導は、それぞれ30%、50%の発現量の減少が見られた。以上の結果より、移植先の環境が細胞分化に影響することが推察された。さらに、HFL細胞において副腎ステロイドによるCYP3Aの誘導は主にGRを介する経路によることが明らかとなった。
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Research Products
(3 results)