2005 Fiscal Year Annual Research Report
新しい膜骨格関連蛋白質Protein4.1Bの機能形態学的検討
Project/Area Number |
16590141
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Research Institution | University of Yamanashi |
Principal Investigator |
寺田 信生 山梨大学, 大学院・医学工学総合研究部, 助手 (60293461)
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Keywords | 膜骨格 / Protein4.1 / 細胞接着 / 免疫組織化学 / 凍結技法 / 生体内凍結 |
Research Abstract |
赤血球は、高速度で血管内を流動して酸素を全身に運搬するために、細胞膜の裏側に「膜骨格」という、網目構造を形成して外力に対抗している。その膜骨格関連蛋白の一つであるProtein4.1(以下4.1)は、網目を形成するスペクトリン-アクチン、さらに細胞膜内貫通蛋白質とも結合している。この4.1がファミリー蛋白をもち、私たちは4.1ファミリー特異抗体を用いて、正常マウス、ラットおよびヒトの神経系、腎臓、腸管、膵臓、免疫系組織における超微形態学的局在を示し、さらにこれらの臓器において、一貫して隣接する細胞どうしの相互的な位置関係が関係していることを明らかとした。例えば、4.1ファミリー蛋白のひとつである4.1Bは、神経細胞軸索(電気的伝達を送る神経突起)が神経膠細胞のミエリン鞘(髄鞘:神経を取り囲む多重の膜)と接する部位のみならず、ミエリン鞘をもたない無髄神経線維においても神経膠細胞に接する部位に、この蛋白質が局在することを見出した。さらに最近、4.1ファミリー蛋白のひとつである4.1Gは、神経突起と向かい合う部位の膠細胞膜の直下にあることも見出した。機能解析についても、GST蛋白を作製し、複合体蛋白検索、同定を現在継続している。 さらに、新たな凍結技法を含む形態解析のための手法研究として、電子顕微鏡試料作製のための「急速凍結レプリカ法」(蛋白質などの立体構造をナノレベルの鋳型(レプリカ膜)に写し取り、蛋白分子局在を直接可視化する方法)、さらに生体内物質を血流維持したまま保持できる「生体内凍結技法」を行い、細胞内部位を詳細に可視化して解析を行うことを可能とした。 以上のように当研究費により、「膜骨格」がこの4.1ファミリー蛋白に示すように、細胞膜直下の普遍的構造であることを証明し、これらが組織形成において、どこにどのように細胞膜に組込まれていくかの蛋白複合体形成解析への足がかりを築くことができた。
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Research Products
(13 results)