2004 Fiscal Year Annual Research Report
マウス口蓋裂の表現型におけるpolymorphismとその発症機構の解明
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16590144
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
滝川 俊也 京都大学, 医学研究科, 助手 (90263095)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩田 浩平 京都大学, 医学研究科, 教授 (80109529)
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Keywords | マウス / 口蓋裂 / TGFβ3 / 口蓋突起内側縁上皮 / 最終分化 / 変更遺伝子 / エピジェネティクス / DNAメチル化 |
Research Abstract |
本年度は非近交系マウス(ICR)と近交系マウス(C57BL/6J,129/Sv,FVB/N,SJL/J)の野生型胎児口蓋組織を材料に用いて、新規DNAメチル化酵素であるDnmt3b発現の差異をwestern blottingおよびRT-PCRで調べたが、有意な差を見出すことはできなかった。一方、我々の開発した単一口蓋突起回転浮遊培養法の培養条件を設定し直して、口蓋突起内側縁上皮細胞の最終分化能力を調べたところ、非近交系マウスと近交系マウスの野生型でさらに著しい相違を認めた。同様の条件でTGFβ3遺伝子欠損マウス(ICR系統とC57BL/6J系統)の対になった口蓋突起を培養したところ、ICR系統では口蓋前方部分の口蓋突起内側縁上皮細胞は上皮性縫合を形成すれば、TGFβ3に依存しないで間葉細胞にトランスフォーメーションできることが明らかになった。また、本来、in vivoでもin vitroでも上皮性縫合を形成する能力を持たなかったC57BL/6J系統のTGFβ3遺伝子欠損マウスでさえ、マトリックスメタロプロテアーゼの活性を阻害することによって、上皮性縫合が形成されるようになることが判明した。しかし、上皮性縫合を形成してもトランスフォーメーションすることはなく、脱メチル化剤(5-アザデオキシシチジン)を併用しても効果は認められなかった。マトリックスメタロプロテアーゼの活性を阻害しない場合は、脱メチル化剤は内側縁上皮細胞の最終分化を促進し、C57BL/6J系統のTGFβ3遺伝子欠損マウスにみられる完全口蓋裂のみの表現型がICR系統とほぼ同じ表現型(不完全口蓋裂)にまで有意に回復した。これらの実験結果から、マトリックスメタロプロテアーゼ活性の抑制が上皮性縫合の形成時には必要であり、その直後から起こる最終分化にはマトリックスメタロプロテアーゼ活性化が必要であることが示唆された。
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Research Products
(3 results)