2004 Fiscal Year Annual Research Report
ニューロン・グリアの脳虚血抵抗性とプロテオグリカンの役割
Project/Area Number |
16590170
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Research Institution | Kurume University |
Principal Investigator |
東 英穂 久留米大学, 医学部, 教授 (10098907)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 永一郎 久留米大学, 医学部, 助教授 (80188284)
外角 直樹 久留米大学, 医学部, 助手 (60368884)
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Keywords | 海馬 / CA1錐体細胞 / アストロサイト / グリア / 細胞外K^+濃度 / 細胞内Ca^<2+>濃度 / 虚血 / 細胞構築 |
Research Abstract |
中枢神経系の海馬は記憶の座といわれ、虚血に最も易損性の高い部位である。成熟ラット海馬スライス標本を作成し、無酸素、無グルコース液を灌流(実験的虚血負荷)すると、CA1錐体細胞(ニューロン)は約6分後に急峻脱分極電位を誘起する。この時点で酸素、グルコースを再投与(虚血解除)しても、持続的に脱分極し膜電位が消失する。また、虚血負荷解除直後に標本を固定、染色すると細胞膜にblebs(小胞)が多数形成されているのが観察される。平成16年度は以下の研究を行った。 1.ニューロン・グリアにおける虚血負荷誘起膜電位変化に関する研究 アストロサイト(グリア)から細胞内記録を行い実験的虚血負荷すると、ニューロン同様6分後に急峻脱分極電位を誘起した(peak potential -43±9mV)が、虚血解除により再分極し、5分後には完全に膜電位が回復した。組織間腔K^+膿度([K^+]_0)を膜電位変化と同時に記録すると、[K^+]_0は実験的虚血負荷開始から徐々に上昇し急峻脱分極電位の直前で8±4mMに、急峻脱分極電位のpeakから12±8秒後に最大値に達し、18±17mMであった。さらに、虚血解除後5分では6±3mMに低下した。虚血負荷中の[K^+]_0から推定される膜電位のpeakは-48mVであり、実測値に近似していることから、虚血負荷によるグリアの膜電位変化は[K^+]_0変化に対する応答と考えられた。 2.ニューロン・グリアにおける虚血負荷による細胞構築変化に関する研究 Biocytin封入微小電極を用いて細胞内記録を行い虚血負荷前、負荷解除直後、負荷解除後20分のスライス標本を固定し、染色を行い、細胞構築の変化を調べた。その結果、ニューロンと異なりグリアにおいてはblebs形成のような著しい細胞構築の変化は認められなかった。 3.培養ニューロン・グリアにおける虚血負荷による細胞内Ca^<2+>変化に関する研究 胎生17日目のラット胎児から海馬を摘出し、ニューロン比率の高い培養に成功した。ニューロンはMAP2陽性、GFAP陰性で、グリアはMAP2陰性、GFAP陽性であった。現在、Fura-2/AMでインキュベーションした後実験的虚血負荷を行い、それぞれの細胞内Ca^<2+>濃度変化を測定中である。
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Research Products
(4 results)