2005 Fiscal Year Annual Research Report
循環器疾患発症機構に果たす肥満細胞の主体的役割の解析
Project/Area Number |
16590193
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Research Institution | Shimane University |
Principal Investigator |
塩田 直孝 島根大学, 医学部, 助教授 (60206050)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 徹也 島根大学, 医学部, 助手 (10346380)
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Keywords | 肥満細胞 / キマーゼ / 線維化 / 循環器疾患 |
Research Abstract |
肥満細胞は、サイトカイン、増殖因子、プロテアーゼなど多彩な生理活性物質を産生分泌する多機能炎症細胞である。肥満細胞は炎症やアレルギーを誘導する細胞として知られているが、循環器疾患の発症機構に果たす役割は明らかになっていなかった。この研究課題では、遺伝的に高血圧や心肥大、線維化を発症する自然発症性高血圧ラット(SHR)を用いて肥満細胞の解析を行い以下のことを明らかにできた。1)SHRでは生後直後より既に心臓、血管壁、筋肉、皮膚等に肥満細胞の局在が認められ、更にこれらの組織に局在する肥満細胞数は対照のコントロールラット(WKY)における数よりも有意に多く、SHRでは肥満細胞が高血圧発症前より心血管壁などの組織局所で増殖していることが明らかになった。2)心血管壁に存在する肥満細胞は、TNF-α、FGF2、TGF-β1などのサイトカインや増殖因子を発現していた。3)高血圧発症前のSHRにおいて、心血管壁でのTNF-α、NF-kb、IL-6、c-kitおよびchymaseの遺伝子発現量はコントロールの正常ラット(WKY)での発現量よりも有意に高かった。4)高血圧発症前の生後2週齢の時点より、肥満細胞脱顆粒抑制薬であるトラニラストをSHRに10週間連続経口投与することで、心血管壁に存在する肥満細胞数の減少が起こり、高血圧の発症と心臓線維化を抑制できた。5)またトラニラストの投与により動脈周囲の肥満細胞数の減少と動脈壁の肥厚抑制、動脈周囲線維化の抑制も認められた。以上の結果より肥満細胞の増殖活性化機構の異常が循環器疾患発症のトリガー機構に関連する可能性が示唆された。
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Research Products
(1 results)