2005 Fiscal Year Annual Research Report
炎症反応におけるプリン受容体シグナリングによる制御機構の解明
Project/Area Number |
16590201
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Research Institution | Fukushima Medical University School of Medicine |
Principal Investigator |
松岡 功 福島県立医科大学, 医学部, 助教授 (10145633)
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Keywords | 血管内皮細胞 / マクロファージ / P2受容体 / ATP / インターフェロンーγ / シクロオキシゲナーゼ2 / プロスタグランジンE2 / エクトヌクレオチダーゼ |
Research Abstract |
血管内皮細胞にインターフェロン(IFN)-γを作用させるとATPによる細胞内Ca^<2+>濃度([Ca^<2+>]i)上昇反応の著明な亢進が認められた。このIFN-γの作用は内皮細胞P2X_4受容体の発現亢進および細胞外ATP分解酵素であるNucleoside triphosphate diphosphatase (NTPDase)1の発現を低下に起因することが明らかになった。一方、内皮細胞をATPで刺激すると著明なプロスタグランジン合成酵素COX2の発現誘導が認められた。ATPと同様に[Ca^<2+>]Iを上昇させるUTPは、COX2発現を亢進させなかった。また、種々のP2アゴニストおよびアンタゴニストの作用から、ATPの作用を媒介する受容体の性質はP2X_4受容体の薬理学的性質と一致していた。さらに、P2X_4受容体機能を亢進させるイヴァメクチンは、ATPによるCOX2の発現誘導を増大させ、IFN-γ処理によりP2X_4受容体の発現を上昇させた細胞でもATPによるCOX2の発現誘導が増大していた。以上の結果からATPによるCOX2の発現誘導はP2X4受容体を介した反応であると考えられた。この結果は、炎症局所の血管床では、細胞外ATP濃度が上昇し、発現が亢進したP2X_4受容体を介してCOX2の誘導が起こり、プロスタグランジン産生が亢進する可能性を示唆している。一方、炎症部位で血管内皮細胞に接着、浸潤し、免疫反応を媒介するマクロファージでは、IFN-γおよびPGE_2によりNTPDase1発現が亢進した。また、ATPに対するマクロファージの遊走能がIFN-γおよびPGE_2により亢進することが認められた。以上の結果から、炎症性サイトカインは内皮細胞やマクロファージの細胞外ATP分解酵素の発現を細胞特異的に調節し、細胞外ATPの濃度勾配を形成してマクロファージの生理機能発現に関与すると考えられた。
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Research Products
(4 results)
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[Journal Article] Thrombin-induced rapid geranylgeranylation of RhoA as an essential process for RhoA activation in endothelial cells.2005
Author(s)
Ohkawara H, Ishibashi T, Sakamoto T, Sugimoto K, Nagata K, Yokoyama K, Sakamoto N, Kamioka M, Matsuoka I, Fukuhara S, Sugimoto N, Takuwa Y, Maruyama Y
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Journal Title
J Biol Chem 280・11
Pages: 10182-10188