2005 Fiscal Year Annual Research Report
糖尿病患者へのスタチン投与の是非-薬理学的作用機序による裏付け
Project/Area Number |
16590203
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Research Institution | Hokkaido Pharmaceutical University School of Pharmacy |
Principal Investigator |
佐藤 久美 北海道薬科大学, 薬学部, 助教授 (00235334)
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Keywords | 3T3L1 / アトルバスタチン / Rab4 / Glut4 |
Research Abstract |
3T3L1前脂肪細胞を脂肪細胞に分化させた後、1μM、5μM、10μMの水溶性スタチン(プラバスタチン)及び脂溶性スタチン(アトルバスタチン)を細胞を24時間処置し、ウエスタンブロッティング法によりインスリン受容体(IR)及びプロテインキナーゼB(Akt)のリン酸化、低分子量Gタンパク質であるRhoA及びRab4の局在を調べた。また同様にスタチンを処置し、グルコース取り込み能を2-デオキシギルコース法により検討を行った。プラバスタチンとアトルバスタチンは、いずれもインスリンによるIRのリン酸化に影響を及ぼさなかった。IRからの情報伝達系の下流にあるAktのインスリンによるリン酸化は、アトルバスタチンによって濃度依存的に抑制され、プラバスタチンでは変化を認めなかった。プラバスタチンはRhoA及びRab4両蛋白質に影響しなかった。アトルバスタチンは粗細胞膜(CPM)のRhoAの局在を濃度依存的に減少させた。CPMのRab4の局在を抑制し、細胞質の局在を増加させた。グルコース取り込み能は、プラバスタチンは影響を与えなかったが、アトルバスタチン20μM、シンバスタチン10μM、フルバスタチン10μMで有意に抑制された。RhoAはIRの下流の情報伝達系であるIRS-1、Aktに、Rab4はGlut4に直接又は間接的に影響を及ぼしていると考えられている。以上の結果より、水溶性スタチンと比べ脂溶性スタチンは容易に細胞膜を通過し、細胞内のイソプレニル化を抑制することにより、RhoA及びRab4の細胞膜への局在を抑制し、インスリン情報伝達に影響を及ぼし、最終的に細胞内へのグルコースの取り込みを抑制していると示唆される。
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