2006 Fiscal Year Annual Research Report
新規気分障害治療薬開発を志向した霊長類中枢タキキニン作動性神経伝達に関する研究
Project/Area Number |
16590208
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Research Institution | Nippon Medical School |
Principal Investigator |
鈴木 秀典 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (30221328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大久保 善朗 日本医科大学, 大学院医学研究科, 教授 (20213663)
須原 哲也 独立行政法人放射線医学総合研究所, グループリーダー (90216490)
村越 隆之 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (60190906)
永野 昌俊 日本医科大学, 医学部, 講師 (60271350)
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Keywords | タキキニン / NK-1受容体 / 霊長類 / 抗うつ薬 / PET / SPA-RQ |
Research Abstract |
本研究は、霊長類におけるタキキニン神経系の生理的役割を明らかにし、新規気分障害治療薬の基礎的情報を得ることを最終目的としている。 本年度は放射線医学研究所との共同研究において、新規NK-1受容体トレーサーである[^<18>F]SPA-RQを合成し、前臨床段階の試験として、本トレーサーの薬理学特性の検討および毒性試験を開始した。アカゲザル、マーモセット、スナネズミに対して、[^<18>F]FE-SPA-RQを静脈内投与し、その脳内分布を高分解能PET装置で定量解析した。さらにMRI撮影装置で得られたMR画像とPET画像を組み合わせ、より詳細な脳領域での定量評価を試みた。アカゲザルのPET実験では、[^<18>F]FE-SPA-RQの線条体への集積が観察され、この集積が非ペプチド型NK_1受容体拮抗薬SDZ NKT 343によりほぼ完全に阻害された。このことから、本実験系はNK_1受容体占有率を定量するのに有用であると考えられた。マーモセットを用いた実験では[^<18>F]FE-SPA-RQがヒト、アカゲザルと同様の薬物動態を示し、この小型霊長類でも生体脳においてNK_1受容体解析を行えることが分かった。スナネズミを用いたPET画像とex vivoオートラジオグラフィー実験の比較検討によって、NK_1受容体イメージングや薬物の受容体占有率計測が小型げっ歯類においても同様に可能であることが示された。また各脳部位における[^<18>F]FE-SPA-RQ集積の平衡到達時間は、げっ歯類を含め種差に関わらず約90分間であった。 以上の結果から、小型実験動物における高分解能PET装置と高解像度MR画像を用いた脳内[^<18>F]FE-SPA-RQによるin vivo定量解析システムが、NK_1受容体拮抗薬の薬効評価に向けた前臨床試験において有用であることが明確に示された。
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Research Products
(6 results)