2005 Fiscal Year Annual Research Report
呼吸中枢異常や概日リズム異常を呈する、転写因子MITF変異マウスの病態の解析
Project/Area Number |
16590216
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
武田 和久 東北大学, 大学院・医学系研究科, 助手 (30311559)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
柴原 茂樹 東北大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (70206142)
|
Keywords | MITF / 概日リズム / 換気応答 / Prostaglandin D synthase / SOX10 / Endothelin / DNA methylation / メラノサイト |
Research Abstract |
メラノサイトの分化には、転写因子であるMITFやSOX10、分泌タンパクendothelin3とその受容体endothelin receptor type B(EDNRB)が必須である。こららの遺伝子変異マウスは、メラノサイトが欠損し白い体毛となる。 まず我々はメラノサイトの新たな生理的役割を探索するために、Mitf遺伝子変異マウスであるMitf-black eyed white(bw)マウスの様々な生理機能を解析した。正常なマウスでは夜間に活発化した運動が夜間後期に減少するが、bwマウスでは夜間後期の運動の減少が認められなかった。また換気応答の解析の結果、bwマウスの安静覚醒時の呼吸数が正常なマウスに比べ少なく、低酸素及び高炭酸ガス刺激に対して過剰応答した。これらの症状から、bwマウスには概日リズムや呼吸調節の異常があると予想される。 そこでbwマウスの病態の分子機序を解明するために、Wild typeとbwマウスの皮膚によるcDNA microarray法を行った。そして、新規メラノサイトマーカーとしてlipocalin-type Prostaglandin D synthase(L-PGDS)を同定した。L-PGDSの発現がMITFによって制御されることも示した。L-PGDSは睡眠の調節に関与しており、夜間運動亢進の原因である可能性がある。 さらに我々は、SOX10がEDNRB遺伝子の転写を活性化することを明らかにした。興味深いことに、EDNRBを発現しないHeLa細胞(子宮頸ガン)ではEDNRB遺伝子プロモーターがメチル化されており、一方メラノサイトではメチル化されていなかった。SOX10によるEDNRB遺伝子の転写活性化には、EDNRB遺伝子プロモーターの脱メチル化が必要であった。 以上より、メラノサイトの新たな生理的役割や恒常性維持機構が示唆された。
|
Research Products
(2 results)